青年部主催の講演会

希望を開く四日市学

「希望を開く四日市学」中部青年平和講座より

三重大学副学長 朴恵淑

2012年4月1日、三重青年部主催の平和講座が、津文化会館の三重21世紀平和文化センターで開催された。

講座では、三重大学の朴恵淑副学長が「希望を開く四日市学」と題して講演。2012年で四日市公害訴訟判決から40年を迎えることに言及し、「持続可能な開発を目指して、四日市公害から教訓を学び、世界に向けて新たな環境学を発信したい」と語った。

最後に青年部に対して「徹して学び、他者を思いやる心を培いながら、社会を変革するリーダーに」と期待を寄せた。

朴副学長の講演より

朴恵淑副学長の講演より

大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命以前の280ppm(100万分の3個弱)から、388 ppm(100万分の4個弱)に増えた。「気候変動に関する政府間パネル」の第4次評価報告書は、その影響により1980年から99年までに比べ、21世紀末の平均気温は1.8~4.0度、上昇すると予測している。

こうした温暖化については、“長期的に見れば、地球は氷河期になって人類を含む生物が死に絶える危険性があるので、むしろ問題ない”という人もいる。しかし今の増え方は未曽有のペースであり、少し落ち着かせないといけないと思う。

温暖化などの影響で、現在、地球上の生物種の約3割が「絶滅危惧種」となっている。実際、1日に約100種、1時間に約4種が絶滅している。これは、人類が種の絶滅速度を自然状態の1000倍に加速したことを示している。

1992年、ブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」が開催され、多くの国家首脳が参加したが、日本の宮沢首相は参加できず、ビデオレターを送るだけにとどまった。日本は「公害」の経験があり、世界に共有すべきものをもっている。これまでは、どちらかというと“公害にはあまり触れないでほしい”という姿勢に見えるが、どんどんオープンにし、発信すべきであると思う。

レジ袋は、1枚つくるのに原油を約20ミリリットル消費している。三重県では従来、年間約5億6000万枚消費しており、原油にすると約1120万リットル、二酸化炭素排出量は約56,000トンに達する。

そうしたことから、レジ袋の消費を減らすため、マイバッグ運動が各地で進んでいる。三重県では2007年9月、伊勢市がレジ袋の有料化を開始した。10万人規模の都市としては全国初の取り組みだった。この4月からは、全県下で有料化が実施されるようになっている。

日本は「公害列島」だった。ここ三重県でも、かつて「四日市ぜんそく」があった。ここで、「公害」という言葉の意味を考えていただきたい。私は、その教訓を生かしていってこそ、「公の害」といえるのではないかと思っている。

かつての四日市は、産業の発展が優先され、人命が軽んじられていたといえる。企業に賠償を命じた画期的な判決は1972年4月に出たが、この判決文は名文で、「予防原則」というものも謳っていた。

当時としては先駆的な判決であった。後藤氏は「自分には当時2人の子どもがいた。病院でぜんそくの患者に出会ってショックを受けた」ということを語っており、そうした経験が生んだ判決だったと思う。

この悲劇から学ぶために、私たちは「四日市学」をたちあげた。四日市の公害から学んで、法制度の整備、環境政策、地域住民の連携や参画、「人財」養成、そして「認識の共同体」の構築などにつなげることを目的としている。大学、企業、メディア、行政、さらにはNPO(民間非営利団体)、地域社会、家庭などがかかわる学問である。

そして、ここで浮き彫りにした教訓を、現在、経済発展が著しいアジアの国々で生かすことを目指している。これは、日本の環境外交の重要な武器、財産ともなる。

私は、かつて留学していたアメリカの大学を訪問された池田SGI会長が、同大学の首脳と会見される場に同席させていただいたことがある。振る舞いが堂々としていて、また相手の心をつかむ対話を展開されており、「こういう人こそ日本のリーダーになってほしい」と思ったことをよく覚えている。

そんな池田SGI会長の提言を受け、SGIとしても各地で環境を守るための活動を展開されているとうかがい、うれしく思う。これからは市民の力がますます重要であり、共に手を携えて進んでまいりたい。