青年部主催の講演会

宇宙から見つめなおす人類

「宇宙から見つめなおす人類」

渡部潤一氏

新展示「わたしと宇宙展――奇跡の地球に生きる」が2013年9月20日から28日まで、東京・ベルサール新宿セントラルパークで開催された(主催=創価学会同展実行委員会。監修=国立天文台の渡部潤一副台長、日本宇宙フォーラムの渡辺勝巳主任調査員。協力=米航空宇宙局〈NASA〉、宇宙航空研究開発機構〈JAXA〉の寺田弘慈広報部長。後援=日本宇宙フォーラム)。

会場には、宇宙服や月面車のレプリカ、小惑星探査機「はやぶさ」の2分の1模型などを設置。大画面シアターや天体の動きを映し出す大きな球面など、最新の映像表現等によって、宇宙の壮大な営みを生き生きと伝える。

さらに、人類初の月面着陸を果たしたアポロ計画の際、地球に持ち帰られた「月の石」が今回、特別にNASAから出品された。

20日午後に行われた開幕式には、東京都の猪瀬直樹知事、国立天文台の渡部副台長、日本宇宙フォーラムの北原正悟理事長ら多数の来賓が出席した。

また同日夜には、「宇宙から見つめなおす人類」と題して渡部副台長による開幕記念講演(主催=青年平和会議・女性平和文化会議)が行われた。

同展は今後、日本国内を巡回する予定。

国立天文台・副台長 渡部潤一氏の講演要旨

これまで人類はさまざまな宇宙観の変遷を遂げてきました。

地球を宇宙の中心とし、天体がその周りを公転する天動説。私たちが日常で使う、曜日の起源も、実は古典的天動説の時代の宇宙観に基づいています。

ギリシャのプトレマイオスによって体系化された天動説は、約1300年にわたって、宇宙観の基本とされてきました。

そこに異を唱えたのが、ポーランドのコペルニクス。太陽を中心に地球も含めた惑星が回る地動説。ガリレオ・ガリレイは、望遠鏡によるさまざまな発見で、この地動説を支持しました。

20世紀にはアメリカのシャプレーが、地球は銀河系の中心から遠く離れた場所に位置しているという、銀河中心の考察を示しました。

同世紀、アメリカのハッブルは、他にも銀河が存在し、それらが地球から遠ざかっている運動を観測。宇宙の膨張と解釈されるようになりました。

そして、この宇宙はビッグバン(火の玉の大爆発)によって創成され、宇宙に中心が存在しないという宇宙観が支持を集めるようになりました。

現在では宇宙の加速膨張が明らかになっています。その原因となるのが暗黒エネルギー。暗黒物質と合わせて宇宙全体の物質エネルギーの96%を占めていますが、その正体は未知のものです。

文明技術の発展などにより、人類は、かつての自分たちを中心とする考えから、地球は宇宙を構成する一要素であることを認識するようになりました。

しかし、まだ成長段階といえるでしょう。人間は「自分を中心」とする傲慢な心がどこかにあるものです。

今は昔では考えられないテクノロジーを自在に使う便利な社会です。しかし、これは進化の終わりではありません。歴史の一過程に過ぎず、通り過ぎている瞬間。1万年後の人類から見れば未熟な技術文明でしょう。

人類は知的文明として大人になりきれていない。戦争なんかしていること自体がその証拠です。時間軸・空間軸という大きな次元から、「今」を捉え直すことが必要だと思うのです。
この宇宙には1千億の銀河があり、それぞれに1千億の星があるといわれています。壮大な次元で見れば、我々は特別なわけではありません。

確かに、地球は生命が存在する上でさまざまな条件が適しています。しかし、3千億の恒星があるアンドロメダ銀河には、その恒星のうち、0.1%には同じ条件の惑星がある可能性があります。つまり3億あるのです。

その中で生命が発生する可能性は1%と考えられています。つまり300万の星で知的生命がいてもおかしくない。そう考えれば、他の惑星でも同じように青年部主催の講演会をしているかもしれませんね(笑)。

地球は約1億5千万キロの半径をもった軌道を1年かけて回るメリーゴーラウンドです。季節ごとにいろいろな星空が展開されます。現代社会は情報が氾濫し、毎日が忙しなく流れます。ぜひ、壮大なメリーゴーラウンドから星空を眺め、豊かな心を取り戻す時間にしてほしいと思います。

星は、時間・空間的にも我々が認知できる最もスケールの大きなものです。それを見ることで、自己の現在、未来を考える。そうした積み重ねが、知的文明として、人類を成熟させていくものと信じています。