2012年の環境提言

目覚めた民衆の力強い連帯こそ地球的課題を乗り越える原動力

第12段
目覚めた民衆の力強い連帯こそ地球的課題を乗り越える原動力

未来を開くための比類なき世襲財産

以上、リオ+20に向けて提案を行いましたが、「共通目標の制定」や「制度改革」に加えて、「教育枠組みの推進」をセットにしたのは、生涯を通じて〝変革の主体者〟となり、〝周囲に希望の波動を広げる存在〟となる人々の育成こそが、持続可能な地球社会を築く挑戦の生命線であると考えるからです。

まさに人類と地球の未来がかかっている重要な会議を目前に控え、私の胸に再びよみがえってくるのは、ローマクラブのペッチェイ博士の言葉であります。

「一人一人の人間には、これまで眠ったままに放置されてきた、しかし、この悪化しつつある人類の状態を是正するために発揮し、活用することのできる資質や能力が、本然的に備わっている」「この人類の潜在能力は、いざというときの切り札として、局面の逆転を助けてくれるはずです。われわれはまだこの能力を甚だしく浪費し、誤用していますが、最も有能で幸運な人々から最も貧しい底辺の人々にいたるあらゆる人間に本来備わっている、この生得の、活気に満ちた、豊かな資質と知性こそは、人類の比類なき世襲財産なのです」(『二十一世紀への警鐘』、『池田大作全集第4巻』所収)

博士が着目していた、全ての人々の持つ無限の可能性という「人類の比類なき世襲財産」を、持続可能な地球社会の建設という未曽有の挑戦のために生かす最大の原動力となるのが、教育に他なりません。

教育は、どんな場所でも、どんな集まりでも実践でき、あらゆる人々が主体的に関わることのできるものです。そして、すぐには目に見えた結果が表れなくても、じっくり社会に根を張り、世代から世代へと受け継がれるたびに輝きを増していく――。

私どもSGIが、どのような地球的問題群の解決を目指す上でも、「民衆の民衆による民衆のためのエンパワーメント」を運動の根幹に据えてきた理由は、その点にあります。

持続可能な未来を共に考えるための対話のフォーラムとして開催してきた展示会のタイトルを、「希望の種子」や「変革の種子」と名付けたのも、仏典に「物たね(種)と申すもの一なれども植えぬれば多くとなり」(御書971ページ)とあるように、一人一人の胸に種を植えていくことが時代変革の直道であると固く信じてきたからでした。

また、多くの国々で環境を保全するための活動に取り組む際も教育的な観点を重視してきました。今年で開設20周年を迎えるブラジルSGIの「アマゾン自然環境保護センター」でも、熱帯雨林再生プロジェクトに取り組む一方、持続可能な社会づくりを住民主導で進めることを、教育の力で後押ししてきました。

こうした活動などを通じて、私が友情を深めてきた一人に、ブラジルを代表する詩人のチアゴ・デ・メロ氏がいます。

リオ+20に向けての提言を締めくくるにあたり、〝地球の肺〟と呼ばれるアマゾンの大切な自然を守るために戦い続けてこられたメロ氏の言葉をもって結びとしたい。その言葉とは、97年4月に再会した折に、メロ氏が私に贈ってくださった即興詩です。

「私は、愛を武器として、謳いながら働く。あすの建設のために。

愛は全てを与える。私は希望を分かち合い、新たな生命の光を植えていく。

時には、炎が立ちのぼるアンデスの峰で、わが友愛の心の叫びが封じ込められようとした。だが私は、その炎を乗り越えて、今も謳い続ける。

新しい道などないのだ。あるのは、ただ、新しい歩み方だけだ。

不遇な人々の痛みをわが痛みとし、空腹で眠る子どもたちの悪夢に同苦しながら、私は学んだ。この地球は、自分だけのものではないということを。

そして、私が学んだ最も大切なこと。それは、わが命が尽きる前に、変えるべきことを変えるために行動することである。

一人一人が自分らしく、自分の立場で――」