2009年の核廃絶提言

世界の民衆の力強い意思を結集 核兵器禁止を人類の規範に

第11段
世界の民衆の力強い意思を結集 核兵器禁止を人類の規範に

真に対峙すべきは核を容認する思想

第5は、2015年までに「核兵器の非合法化」の基礎となる国際規範の確立を目指し、世界の民衆の声を結集することです。

96年に国際司法裁判所が示した勧告的意見を踏まえる形で、翌97年に核戦争防止国際医師の会(IPPNW)をはじめとする三つのNGOが中心となり、核兵器禁止条約のモデル案が起草されました。これは、国連文書として配布された後、2年前に内容の改訂を経て、NPT再検討会議の準備委員会に作業文書として提出されています。

こうした規範の確立を求める声は、昨年10月に国連の潘事務総長が重要性を指摘するなど、次第に広がりをみせています。

私どもSGIでも、IPPNWが進める「核兵器廃絶国際キャンペーン」に賛同する形で、核兵器禁止条約の締結を目指す運動に加わってきました。

そこで、今回提案したいのは、「人類の生存権を脅かす核兵器を、非人道的兵器の最たるものとして禁止する」との意思表示を、個人や団体、更には自治体や国レベルで行うことを呼びかけながら、同条約の締結の基礎となる国際規範を形成することです。

モデル案の前文が「われら地球の人民は」との一節で始まっているように、条約を単に国家間の合意ではなく、平和な地球社会を求める“一人一人の人間”の名において制定していくことが欠かせません。

そして何より、条約締結の困難さを理由に、いたずらに時間の経過を許してはならない。世界の民衆の圧倒的な意思を結集し、条約の制定を求める国際世論を力強く喚起しながら、もはや誰にも無視できない状況を現出させることが重要ではないでしょうか。

この点、アクロニム研究所のレベッカ・ジョンソン所長が「すべての人々に対する安全の保証」と題する論考で述べた次の言葉は、私どもが目指す方向性と響き合うものがあります。

「核兵器の使用を非難し、非合法化していくプロセスは、勇気ある指導者が一方的措置を講じ、多国間の規範を形成するチャンスでもある。これは重要なイニシアチブであり、非保有国が――さらには市民や市民運動が――これに支持を表明し、強固な倫理規範を形成していけば、核軍縮への取り組みは確固とした足場を築くことができる」

そこで私は、志を同じくする人々や団体、宗教界や精神界、また世界の諸大学・学術機関などが共同で、国連の諸機関とも協力して取り組む、仮称「核兵器廃絶を求める世界の民衆宣言」運動を立ち上げることを提案したい。

核時代に終止符を打つために戦うべき相手は、核兵器でも保有国でも核開発国でもありません。真に対決し克服すべきは、自己の欲望のためには相手の殲滅も辞さないという「核兵器を容認する思想」です。

戸田会長が「(核保有の)奥に隠されているところの爪をもぎ取りたいと思う」と訴え、「全世界にこの意味を浸透させてもらいたい」と呼びかけたのは、その認識の共有にこそ国境を超えて民衆が連帯できる足場があり、一人一人に意識変革の波を起こし、地球大に広げる挑戦の中でしか、核時代を終焉させる地殻変動は起こせないと確信していたからです。

96年に国際司法裁判所で勧告的意見が審理された際、40の異なる言語による約400万人の「公共の良心の宣言」が、核兵器に対する幅広い一般市民の非難の証拠とともに提出され、結論にいたる過程で考慮された経緯があります。

今度は、この「民衆宣言」を多くの関係者と協議してとりまとめ、2015年までに国連総会へ提出することを目指し、核兵器禁止条約の交渉開始の機運を高めていきたい。同時に、前文を起草する際の最重要の参照文書とするよう働きかけていってはどうか。

SGIとしても、現在進めている「核兵器廃絶へ向けての世界の民衆の行動の10年」の中核として、この「民衆宣言」運動を位置付け、より多くの人々や団体と手を携えながら、核廃絶への民衆の大連帯を幾重にも築いていく決意です。