青年の視点2012年のSGI提言

創価大学 西浦昭雄教授(青年学術者会議)

創価大学 西浦昭雄教授(青年学術者会議)

2012年1月に発表された提言で池田先生は、「人間の安全保障」の理念を深く掘り下げながら、多角的な面から提言をされています。

その中で私が特に注目したのは、2015年に達成期限を迎える国連の「ミレニアム開発目標」のその後の取り組みについて具体性のある提案をされている点でした。

2000年9月の国連ミレニアム・サミットを受けてスタートした「ミレニアム開発目標」は、1990年代前半に教育、環境、社会開発、女性などテーマごとに開催されてきた国際会議で採択された目標が、1996年5月に、援助する側(先進国側)の共通目標として「DAC新開発戦略」として結実し、それが途上国も含めた国際社会全体の目標に昇華してきたという経緯をもつものです。しかし、期限となる2015年を目前に控えて、世界で今、悲観論が台頭しつつあります。

目標達成が最も困難であると予想されているアフリカ地域の経済を専門にしている私は、その現実の厳しさを痛感する一方で、最も危惧すべきは〝目標に対する無力感〟にあると考えてきました。

こうした中、池田先生は今回の提言で、2015年以降を見据え、「人間の安全保障」と「持続可能性」という二つの視点を加味した「21世紀の人類の共同作業」として新たな共通目標を設定する必要性を強調されました。

そしてその上で、新たな目標設定の基盤となる倫理感を育む教育や意識啓発の重要性に言及し、議論を通じた教育方法にまで展開されています。まさに、時宜を得た具体的な提言だといえます。

池田先生が2005年2月に、環境教育の母と呼ばれたマータイ博士と会談された後、私は学生たちと一緒にケニアを訪れ、博士が推進した「グリーンベルト運動」を体験しました。

現地の女性グループと一緒に植林作業に汗を流し、交流を深める中で、学生たちの現地への眼差しが変化していくことを実感したことは、今も鮮烈に記憶に残っています。

この経験を通して、「共感性」を育むことが、異なる文化や価値観をつなぐ懸け橋になっていくことを強く感じました。

私は今、創価大学の「グローバル・シティズンシップ・プログラム」に参加する学生の引率者としてフィリピンを訪問中です。

今後とも、現地での学びと交流を通し、「21世紀の人類の共同作業」に貢献する世界市民を育てていきたいと決意しています。

(聖教新聞2012年2月17日付掲載)