青年の視点2012年のSGI提言

創価大学 佐瀬恵子講師(青年学術者会議)

創価大学 佐瀬恵子講師(青年学術者会議)

2011年3月の大震災が日本にもたらした被害は筆舌に尽くし難いものでした。

津波によって多くの方々の尊い生命が奪われ、住居が奪われ、仕事が奪われるなど、まさに生活の基盤の一切を失わせるほどの大災害となってしまいました。

さらに福島での原発事故は、日本だけにとどまらず、世界各国に脅威を与えたと言っても過言ではありません。

震災当時、私は東京にいました。東北の皆さんが受けた被害に比べれば大したことはありませんでしたが、ちょうどその時、末期の胃ガンを抱えた母が入院中で、原発事故に伴う計画停電が実施された時には、「母の治療は大丈夫だろうか」との思いとともに、「これから日本はどうなってしまうのだろう」というような大きな不安を感じました。

それだけに、今回の提言を読んで、池田先生が、東日本大震災をはじめ世界の大災害がもたらした被害に同苦されながら、「悲劇の拡大を食い止め、地球上から悲惨の二字をなくす」ために、今、私たちは何をすべきなのか、そのために必要となる明確なビジョンとアプローチとは何かについて明確に示されたことに、深い感銘を受けました。

私の母は、震災後しばらくして他界しましたが、宮城県の出身だったこともあり、震災当時、自分の体が病気で極限状態にあったにもかかわらず、宮城で暮らす家族や同志の方々の安否を非常に心配していました。

また、病院で同室になった東北出身の患者さんが家族を心配して毎晩泣いている姿を見た母は、毎日のように励ましの声をかけていました。

今思えば、母のこうした姿こそ、提言の中で強調されていた「現実社会で苦しみに直面している人々の心に共振して、わが身を震わせつつ、人々の苦しみが取り除かれることを願い、行動しようとする」同苦の心の発露であったのだと、思えてなりません。

私たち一人一人が、他者の立場に身を寄せ同苦する人権思想を養い、共に希望の明日を開こうとする誓いを固めることによって、平和と人道の滔々たる流れが、ひいては国家や全世界へと広がり、持続可能な未来を築くことができるのではないでしょうか。

今回の提言で池田先生が示された「核兵器禁止条約の締結」をはじめとする具体的な提案を実現するために、私自身、「民衆の民衆による民衆のためのエンパワーメント」を力強く進めていきたいと決意するものです。

(聖教新聞2012年2月17日付掲載)