「SGIの日」を記念して、平和と共生の地球社会の建設に向けた2030年へのビジョンを展望したいと思います。
国連では創設以来、今年で採択65周年を迎える「世界人権宣言 」をはじめ、国連総会や世界会議での決議を通して、環境と開発に対する「持続可能な開発」、紛争や構造的暴力に対する「平和の文化」など、人類が共同して追求すべき理念や指標を明示することで、国際協力を推進するための旗印にしてきました。
昨年9月にも「人間の安全保障」に関する決議が採択されましたが、こうした理念の設定が重要なのは、現代の世界で何が蔑ろにされているのかを浮き彫りにすると同時に、どのような取り組みが急務なのかを明らかにして注意を喚起するためです。
実際、国連で重点課題とされてきたミレニアム開発目標について、「世界で極度の貧困に苦しむ人々の割合を半減する」との項目が2015年の期限を待たずに達成されました。「安全な飲料水を継続的に得られない人々の割合を半減する」などの目標も実現しており、「初等教育における男女格差の解消」は、あと一歩というところまで前進しています。
もちろん、このままのペースでは達成が危ぶまれる項目も少なくなく、また、仮に全ての目標が達成できたとしても、多くの人々が劣悪な環境で生命や尊厳を脅かされる状況は依然として残るだけに、さらなる取り組みが急務であることは論をまちません。
しかし部分的ではあるにしても、これらの成果が意味するものは、問題意識を共有し、克服すべき課題と期限を明確にした上で、一致した努力を傾注する流れをつくり出すことができれば、世界は着実に変えることができるという点ではないでしょうか。
折しも昨年6月の「リオ+20 」(国連持続可能な開発会議)で、新たに「持続可能な開発目標」の制定を進めることが決まり、先月には検討のための作業部会が設立されました。
新目標の期限として予定されている2030年までに何を成し遂げ、どんな世界を築いていくのか――今こそ衆知を結集して、地球社会のグランドデザイン(青写真)を描き出すべきであると訴えたい。