2013年のSGI提言

核依存の安全保障を脱却し日本は核廃絶への行動を!!

第10段
核依存の安全保障を脱却し日本は核廃絶への行動を!!

NPT再検討会議を機に生じた動き

こうした中、2010年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議を契機に、核兵器を非人道性に基づいて禁止しようとする動きが芽生えつつあります。

NPT再検討会議では、「核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすことに深い懸念を表明し、すべての加盟国がいかなる時も、国際人道法を含め、適用可能な国際法を遵守する必要性を再確認する」(梅林宏道監修『イアブック「核軍縮・平和2012」』ピースデポ)との一文が最終文書に盛り込まれました。

以来、2011年11月に国際赤十字・赤新月運動の代表者会議で、核兵器の使用禁止と完全廃棄を目指す条約の交渉を求める決議が採択されたほか、昨年5月には、次回のNPT再検討会議に向けて行われた準備委員会の場で、ノルウェーやスイスを中心とした16カ国による「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」が発表されました。

共同声明では、「冷戦の終結後においてすら、核による絶滅の脅威が、21世紀における国際的な安全保障の状況の一部であり続けていることは、深刻な懸念」との認識を示した上で、次のような呼びかけを行っています。

「もっとも重要なことは、このような兵器が、いかなる状況の下においても二度と使用されないことです」

「すべての国家は、核兵器を非合法化し、核兵器のない世界を実現するための努力を強めなければなりません」(前掲『イアブック「核軍縮・平和2012」』)と。

昨年10月には、この共同声明に若干の調整を加えたものが国連総会第1委員会で発表され、賛同の輪はオブザーバー国を含めて35カ国にまで拡大しました。

そして今年3月には、共同声明を踏まえる形で、ノルウェーのオスロで「核兵器使用の人道的影響」をテーマにした政府レベルの国際会議が開かれます。

この国際会議は、科学的な見地から、核兵器の使用による即時的影響や長期的影響、人道救援の困難性について検証することを目的としたものです。

また、9月には国連で、核兵器の完全廃棄をテーマにした「核軍縮に関する総会ハイレベル会合」の開催も予定されています。

私は昨年の提言で、有志国とNGO(非政府組織)を中心とした「核兵器禁止条約のための行動グループ」の発足を提案しましたが、これらの会議を通じて機運を高め、共同声明への賛同の輪を大きく広げながら、可能であれば年内に、非人道性の観点から核兵器を禁止する条約づくりのプロセスを開始することを、強く呼びかけたい。

北東アジアの平和を切り開くために

そこで今後、重要なカギを握るのが、核保有国による“核の傘„に自国の安全保障を依存してきた国々の動向です。

共同声明には、非核兵器地帯に属する国々や、非保有国で核廃絶を求める国々などと並んで、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国として“核の傘„の下にあるノルウェーとデンマークも加わっています。しかも両国は、声明づくりにも関わってきました。

アメリカの同盟国として同じく“核の傘„の下にある日本も、非人道性の観点から核兵器の禁止を求めるグループに一日も早く加わり、他の国々と力を合わせて「核兵器のない世界」を現実のものとするための行動に踏み出すべきである、と訴えたい。

核兵器の脅威がある限り、核兵器で対峙し続ける以外にないと考えるのではなく、被爆国として、“保有する国の違いによって、良い核兵器があるとか、悪い核兵器があるかのような区別は一切ない„との思想を高め、核兵器禁止条約の旗振り役の一翼を担うべきではないでしょうか。

私は前半で、釈尊の「己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村元訳、岩波書店)との言葉に言及しました。

核兵器についても、広島や長崎の人々が自らの被爆体験を踏まえ、「どの国も核攻撃の対象にしてはならない」「どの国も核攻撃に踏み切らせてはならない」との二重の誓いをメッセージとして発信してきたように、核兵器による惨劇をなくす挑戦の最前線に日本が立つことを望みたい。

具体的には、日本が「核兵器に依存しない安全保障」に舵を切る意思を明確にし、「地域の緊張緩和」と「核兵器の役割縮小」の流れを自ら先んじてつくり出していく。そして、北東アジアに「非核兵器地帯」を設置するための信頼醸成に努める中で、グローバルな核廃絶の実現に向けての環境づくりに貢献すべきであると思うのです。