青年の視点2013年のSGI提言

学生平和会議総合議長 永井 忠

学生平和会議総合議長 永井 忠

中東で初となる、SGI(創価学会インタナショナル)制作の「核兵器廃絶への挑戦」展が2013年3月12日から23日まで、バーレーンの首都マナマで開催されました。
同展は、池田先生が2006年に発表した提言「世界が期待する国連たれ」に基づき、一般市民が主役となって核兵器廃絶を求める世論のうねりを起こすことを目指して2007年に制作されたものです。
以来、世界31カ国・地域、230都市以上で行われています。

今回の会場となったバーレーンはイスラム国であり、湾岸地域の金融センター、安全保障の拠点として重要な役割を担っています。
中東での開催実現には、多くの課題がありました。核兵器をめぐる緊張感が存在するだけでなく、10年には〝アラブの春〟が起こり、大きな社会変動の渦中にあります。そもそも、中東地域においてこの種の展示会は初めてではないか、との声もありました。
しかし中東地域の非核化は「核兵器のない世界」を実現する上で極めて重要な意義があり、池田先生が「SGIの日」記念提言等で何度も訴えてきたテーマでした。国際社会においても、同地域を非核・非大量兵器地帯化するための国際会議を開催する合意がなされています。
今回の展示は、こうした会議の開催を後押しする上でも重要な意義があるとの信念で、2年余りにわたり準備が行われてきました。
転機は、池田先生の中東訪問50周年の佳節に当たる、昨年初頭に訪れました。
SGIと国際パートナーの関係にある核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)でバーレーン代表を務めるブルデスターニ氏から「中東地域の平和のため、『核兵器廃絶への挑戦』展をバーレーンで開催したい。ついては、同展をアラビア語に翻訳させていただきたい」と要望が寄せられたのです。
さらに、民主音楽協会の公演への参加等を通じて、SGIに深い理解を寄せている駐日バーレーン大使館のハッサン大使が展示会の開催に強い賛意を示したほか、中東に関係するさまざまな専門家の協力と助言を得たことで展望が開けました。

展示の開幕式に先立ち、3月10日に行われた共催団体の共同記者会見には、アル・ブアイネン国務大臣(外務副大臣)が特別参加。テレビカメラ2台を含む、20人以上のメディア関係者が集まりました。司会を務めた国連広報センターのフリジ所長は会見の最後に、池田先生の「SGIの日」記念提言と書籍を手に取り、「皆さんにぜひ読んでもらいたい」と強くメディアに呼び掛けました。
会見の様子は翌日、バーレーンの大手各紙が大々的に紹介し、最終的な報道数は20社を超え、中東全域に配信されました。
そして迎えた12日の開幕式は、美しい青空のもと、ハーリド外務大臣、アブドゥルガッファール国王外務担当顧問、13カ国・地域の大使を含む外交関係者ら100人を超える来賓が参加し盛大に行われました。
冒頭、ハーリド外務大臣があいさつし「中東地域での初開催をマナマで迎えられることを、誇りに思います」「多くのバーレーン国民、隣国の皆さまが直接、展示に触れ、この課題の重要性を深く理解し、平和と安定へ共に努力する必要があると理解されることを、強く望むものです」との言葉を寄せました。
池田先生のメッセージが紹介され、それが終わると万雷の拍手が会場を包みました。
多くの方々から「この展示を中東地域に広げてください」との、ありがたい言葉が寄せられました。展示会の様子はバーレーン国営テレビのニュースとして大々的に放映されるなど、非常に大きな反響を呼びました。

翌3月13日から23日まで、同展はバーレーン随一のショッピングセンターであるシーフモールで一般公開されました。バーレーン教育省が展示会の趣旨に賛同し、首都マナマの中学校が毎日2、3校ずつ展示会の見学会を行い、見学者が後を絶たない状況でした。
会場に用意された、「SGIの日」記念提言や〝被爆証言DVD〟など3千人分の資料は、あっという間に全てなくなってしまいました。
会場では、多くの感動的なエピソードがありました。ある女性は、池田先生の行動を紹介するパネルの前で涙を流しながら、こう言いました。
「これです! この希望の言葉を私は探し求めておりました!」
それは「平和の建設は、諦めと希望の競争である。無力感と執念の競争である」との、池田先生の言葉でした。彼女は、敬虔なイスラム教徒で世界平和を求めて活動していた兄弟を、展示会の2週間前に事故で亡くしたばかりだったのです。失意の中で「平和とは一体何か」と探求していたとのことでした。彼女は最後に「仏教の教えは、イスラム教徒の私にも響いてきます。学ぶべき点が多くあります」と述べていました。
今回、あらためて実感したことは、池田先生の平和思想はイスラムの土壌においても強く、深く、共鳴するということです。世界平和へたゆまぬ闘争を続けてこられた池田先生への感謝を胸に、国際社会に平和の文化の取り組みを一段と広げてまいります。

(聖教新聞2013年4月23日付掲載)