青年の視点2013年のSGI提言

創価大学 井田旬一准教授(青年学術者会議)

創価大学 井田旬一准教授(青年学術者会議)

今回の提言で、社会で常に顧みられるべき精神性の指標の一つに「生命の無限の可能性に対する信頼」を挙げられているのは、非常に重要な点であると強く感じた。

大学で環境問題について教える中で、しばしば直面することがある。それは、多くの学生が環境問題の深刻な実態を知ることでショックを受け、問題のあまりの大きさに、どうしたら解決できるのか途方に暮れてしまうことである。〝自分一人が行動を改めたところで、何も状況は変わらないのではないか〟といった、諦めの気持ちに負けてしまいそうになるのだ。

それとは別に、様々な悩みを抱え、自分に対する自信が持てずに苦しんでいる学生もいる。良い点を見つけて評価する「加点法」よりも、悪い点で判断していく「減点法」の色合いの強い日本の社会では、無理のないことかもしれないが、〝他の人はできるのに自分はなぜできないのか〟と、自分を卑下して落ち込んでしまう学生が少なくないのだ。

環境問題に対する諦めと、自分自身に対する諦め――。一見すると全く別の話のようであるが、この2つは表裏一体であり、いずれも根本原因は、自分や他人の持つ可能性を信じられないことにあると思われる。

池田大作SGI会長は提言で「社会は必ず変革できる。そしてそれは、一人一人の人間の内なる変革から始まる」と強調されたが、その出発点となるのは何より、自分自身の可能性を信じることだといえよう。

私も学生時代、自分と他人を比較して苦しんだ時期があった。しかし、当時の指導教授をはじめ、周囲の多くの人から温かい励ましを受けたことで、乗り越えることができた。

この経験で私が痛感したのは、自分に自信のない人が「生命の無限の可能性」を信じることは容易ではなく、自分のことを信じてくれる周りの人の励ましが欠かせないということ。そして、生きる希望を取り戻し、悩みを乗り越えることができれば、自分に対してと同じように、他の人に対しても「生命の無限の可能性」を信じられるようになり、自分の体験を語ることで、他の人々にも前向きな生き方を促すことができるという点である。

学生たちが自分自身の可能性を信じられるようになること、そしてその経験を通じて、環境問題も解決可能であると確信できるようになること――その道を開くためには、私たち教員が学生たちの可能性を心から信じ、励ましていくことが必要不可欠となる。

今回の提言で学んだことを胸に深く刻みながら、これからも全力で学生の皆さんの成長のお手伝いをさせていただく決心である。

(聖教新聞2013年3月7日付掲載)