2014年のSGI提言

人類の歴史に新たな足跡を

第2段
人類の歴史に新たな足跡を

トインビー博士が寄せた力強い期待

この大いなる挑戦を展望するにあたって思い起こされるのは、20世紀を代表する歴史家のアーノルド・J・トインビー博士が述べていた、「われわれは、歴史をして繰りかえさせるべく運命づけられているのではありません。つまりわれわれ自身の努力を通じて、われわれの順番において何らかの新しい、先例のない変化を歴史に与える道がわれわれには開かれている」(『試練に立つ文明』深瀬基寛訳、社会思想社)との言葉です。

ここで言う、「何らかの新しい、先例のない変化を歴史に与える道」とは何か――。私は、一人一人の人間の立場に約して、人々のため、社会のため、未来のために、自分にしかできない価値を創造し続ける挑戦として提起したい。

以前(2002年8月)、環境開発サミットに寄せた提言で、「迂遠のようではあっても、人間に帰着し、人間生命の開拓と変革から出発する『人間革命』こそ『地球革命』を実現させゆく王道」と呼び掛けたことがあります。

一人一人の無限の可能性を引き出すエンパワーメント(内発的な力の開花)を基礎に置く「人間革命」も、個人の内面の変化にとどまってしまえば真価を発揮することはできません。

その“内なる変革„がもたらす勇気や希望が、厳しい現実を突き破るための価値の創造に結実してこそ、“社会的な変化„を起こすことができ、その変化が積み重なる中で、人類が直面する問題を乗り越える「地球革命」の道が、一歩一歩踏み固められていく。

また、「地球革命」が前に進むことで、苦しみに沈んでいた人たちが笑顔を取り戻し、その人たちがまたエンパワーメントを通じて無限の可能性を開花させ、地球的問題群に立ち向かう連帯に勇んで連なっていく――このミクロとマクロの変革を同軸でつなぎ、双方の前進を連動させながら時代変革の潮流を高めるものこそ、「価値創造」の挑戦だと思うのです。

そこで今回は、脅威を乗り越えるためのレジリエンスを高め、さらには「持続可能な地球社会」を築く上での原動力となりゆく「価値創造」の挑戦について、①常に希望から出発する価値創造、②連帯して問題解決にあたる価値創造、③自他共の善性を呼び覚ます価値創造、の三つの観点から論じてみたい。