2014年のSGI提言

「教育」「青年」を共通目標の柱に掲げ人間の尊厳輝く世紀を

第9段
「教育」「青年」を共通目標の柱に掲げ人間の尊厳輝く世紀を

続いて、すべての人々が尊厳を輝かせて生きられる「持続可能な地球社会」を築くために、三つの角度から提案を行いたい。

第一の柱は、教育と青年に関するものです。

前半で、歴史家トインビー博士の「われわれ自身の努力を通じて、われわれの順番において何らかの新しい、先例のない変化を歴史に与える道がわれわれには開かれている」(前掲『試練に立つ文明』)との言葉を踏まえながら、民衆による民衆のための価値創造の挑戦について論じてきましたが、その力を引き出すエンパワーメントの源泉となるのが教育に他なりません。

振り返れば、信念の闘争を貫いて出獄を果たしたマンデラ氏と初めてお会いした時(1990年10月)、新しい時代を建設するための最重要のテーマとして語り合ったのが教育であり、青年の育成でした。

新生・南アフリカの建設の礎は教育にあるとの信念を持つマンデラ氏に対し、「100年先、200年先という未来を展望するとき、国家の発展の因を何に求めるか。それは『教育』である」との強い共感を、お伝えしたことを懐かしく思い起こします。

対話を通して、“教育こそ、人間の尊厳を照らす光源である„との信念を私たちは強め合いましたが、そうした教育は一国の単位に限らず、人類全体の未来の命運を握るものと言っても過言ではありません。

マンデラ氏が1万日に及ぶ獄中闘争を勝ち越えたのも、絶えず自身に“教育の息吹„を取り込み、恩讐を超えて平和と共生の社会を築くという夢を大きく育てていたからでした。

「強固な壁の後ろに閉じ込めることができるのは、私の肉体だけなのです。私は依然としてコスモポリタン的な考えを持っています。心の中では、ハヤブサのように自由なのです。私のあらゆる夢の錨となっているものは、人類全体に共通する英知です」(前掲『ネルソン・マンデラ 私自身との対話』)と、精神の翼を広げ、ギリシャの古典劇を読んで逆境に屈しない心を鼓舞したり、仲間の囚人と獄中で“大学„を開いて、理想の未来をつくりあげる力を共に養うことを怠らなかったのです。

世界で今、脅威に直面して深刻な苦しみを抱えている人々、社会を何としても良い方向に変えたいと願っている人々、そして、これからの未来を担いゆく若い世代にとって何より必要なのは、この「不屈の希望」と「人類の英知に学ぶという精神性」に裏打ちされた価値創造の力を育む教育ではないでしょうか。