2014年のSGI提言

多発する災害と異常気象  復興への協力強化が急務

第11段
多発する災害と異常気象  復興への協力強化が急務

「レジリエンス」を地域全体で高める

次に提案の第二の柱として、災害や異常気象による被害を最小限に抑えるための国際協力について述べておきたい。

世界気象機関が昨年に発表した報告書によると、21世紀の最初の10年間(2001年~2010年)は、ハリケーン・カトリーナやパキスタンでの洪水、アマゾン川流域の干ばつなど、異常気象が各地で発生した結果、犠牲者は37万人にのぼったといいます。

異常気象が多発する状況は2010年以降も続いており、昨年だけでも、台風30号がフィリピンやベトナムに深刻な被害をもたらしたのをはじめ、ヨーロッパ中部やインドなどが豪雨による洪水に見舞われ、北半球の多くの地域が記録的な熱波に襲われました。

また、こうした直接的な被害以外にも、気候変動は人々の生活を支える農業、漁業、林業などに深刻な影響を及ぼし、世界全体の経済的損失額は年間2000億ドルにも達しています。

そのため、地球温暖化の防止に関する国連気候変動枠組条約の締約国会議でも、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量削減とは別に、損失や被害への対応が議題にのぼるようになり、昨年11月に行われた第19回締約国会議では、気候変動に伴う損失と被害に関する「ワルシャワ国際メカニズム」の設立が合意されました。

しかしこの制度も、途上国への資金援助の提供を先進国に要請するだけで、拘束力はなく、メカニズムの見直しの機会も2016年まで持ち越されるなど、気候変動の悪影響に苦しむ人々の状況の改善にはつながらない恐れがあります。

国連大学の環境・人間の安全保障研究所は、「現行レベルの適応策や緩和策では、さまざまな気候ストレスからの負の影響を回避するには十分ではない」(国連大学のホームページ)と警鐘を鳴らしていますが、何らかの新しいアプローチを見いだし、早急に対策を講じる必要がありましょう。

そこで提案したいのは、国連気候変動枠組条約によるグローバルな規模での対応策と並行する形で、アジアやアフリカをはじめとする各地域で、災害や異常気象による被害を軽減し、復興を成し遂げるための「レジリエンス」の力を強化する協力体制を整備していくことです。

災害や異常気象への対応は、「事前の備え」「被災時の救援」「復旧・復興」の3本柱から成りますが、このうち被災時の救援は、各国から支援が寄せられる場合が少なくないものの、残りの二つの分野における国際協力に関しては、より一層の拡充が必要ではないかと思います。

どれだけ緊急支援が寄せられても、その後、一国の力だけで復興を成し遂げ、災害への備えを強化するには、かなりの困難が伴うことが、各地の事例で浮かび上がっているだけに、教訓を共有しながら助け合う制度を設けることは、急務だと言えましょう。

現在、紛争については、国連の平和構築委員会などを通じて、紛争予防、紛争解決、平和構築が一連のプロセスとして取り組まれるようになっています。

災害や異常気象についても同様に、「事前の備え」や「被災時の救援」から、「復旧・復興」にいたるまでの一貫した協力体制を、近隣諸国の間で築いていくべきだと思うのです。