2015年のSGI提言

創設70年迎える国連の新たな取り組み

第2段
創設70年迎える国連の新たな取り組み

戸田第2代会長の地球民族主義

思い返せば、私の師である創価学会の戸田城聖第2代会長は、ハンガリー動乱で塗炭の苦しみを味わった人々に思いをはせ、「世界にも、国家にも、個人にも、『悲惨』という文字が使われないようにありたい」(『戸田城聖全集第3巻』)と呼び掛けたことがありました。

人権運動の指導者マーチン・ルーサー・キング博士の言葉に、「正義とは分割できないもの」(『良心のトランペット』中島和子訳、みすず書房)とありますが、戦時中の日本で思想統制に抗して、牧口常三郎初代会長と共に投獄された戸田会長にとっても思いは同じでした。

自分たちだけの平和と安寧も、自分たちだけの繁栄と幸福もないと考えていたからです。

朝鮮戦争が激化した時も、「夫を失い、妻をなくし、子を求め、親をさがす民衆が多くおりはしないか」(『戸田城聖全集第3巻』)と、わが事のように案じていました。

すべての立脚点は、民衆の苦しみに同苦する精神にあったのです。

ゆえに戸田会長は、どの国で暮らし、どの民族に属しようと、人間には誰しも平和で幸福に生きる権利があると、「地球民族主義」のビジョンを提唱しました。その骨格をなす〝地球上から悲惨の二字をなくしたい〟との戸田会長の熱願こそ、私どもSGIが、国連支援を柱とする平和・文化・教育の運動の源流としてきたものなのです。

〝あらゆる場所〟や〝すべての人々〟との包摂性を「ミレニアム開発目標」の後継枠組みの基盤に据え、さらなる協力の強化を図ることは、困難に満ちた道のりかもしれません。

しかし、国連憲章の精神――「戦争の惨害から将来の世代を救い」「基本的人権と人間の尊厳及び価値」に関する信念を再確認し、「すべての人民の経済的及び社会的発達を促進する」との誓約が刻まれた前文に立ち返り、そこに記された「将来の世代」や「人間」や「すべての人民」には、例外などなかったことを、今一度、想起すべきではないでしょうか。

そこで今回は、国連の新しい国際目標を軌道に乗せ、地球上から悲惨の二字をなくす取り組みを加速させるために、鍵を握ると思われるアプローチについて、三つの観点から提起したいと思います。