2015年のSGI提言

核兵器禁止条約の交渉を  広島・長崎への原爆投下から70年

第15段
核兵器禁止条約の交渉を  広島・長崎への原爆投下から70年

膠着状態を破る実りある討議を

そこで、次の二つの具体的な提案を行いたい。

一つめは、NPTに基づいて核軍縮に関する制度づくりを進めることです。

先月の国連総会で、重要な意義を持つ決議が採択されました。本年の再検討会議で、NPT第6条が要請する「核軍縮のための効果的措置」の枠組みに関し、あらゆる選択肢を検討することを求める決議です。

振り返れば、1995年にNPTの無期限延長が決定して以降、さまざまな合意がされながらも、ほとんどの内容が進展をみないまま、課題ばかりが山積する状況が続いてきました。

総会の決議に169もの国々が賛同したのも、核問題をめぐる膠着状態が続くことへの強い危機感の表れといえましょう。

ゆえに私はまず、できるだけ多くの首脳が再検討会議に出席することを呼び掛けたい。そして、各国の首脳らを前に「核兵器の人道的影響に関する国際会議」の総括報告を行う場を設けることを提案したい。

また、各国の首脳もしくは代表がスピーチする際、2010年の再検討会議で全加盟国が一致して懸念を表明した「核兵器のもたらす壊滅的な人道的結果」を引き起こさないために、自国としてどのように行動するかについて、言及することを望むものです。

その上で、NPT第6条が要請する効果的措置の検討を進め、特に「核軍縮」に関する項目については、新しい制度を設けて着実な履行を図ることを提唱したいと思います。

NPTの3本柱のうち、拡散防止と原子力の平和利用に関しては、国際原子力機関が活動しているほか、CTBTや核安全保障サミットなどがあるものの、核軍縮については継続的に討議し、履行を確保する制度がありません。

今一度、2000年の再検討会議で「核兵器の全廃を達成するという保有国による明確な約束」が行われたことを想起し、その約束を具体的かつ速やかに実行に移すための「NPT核軍縮委員会」ともいうべき条約の補助機関を新設してはどうでしょうか。

例えばNPTには、加盟国の3分の1の要請で、会議を招集できる仕組みがあります。そこで「NPT核軍縮委員会」の設置を図り、軍縮計画や検証体制などに関する内容をとりまとめ、核兵器ゼロの基盤となる〝後戻りができない大幅な核軍縮〟を進めるべきだと思うのです。

被爆国の日本が果たすべき役割

二つめの提案は、「核兵器禁止条約」の締結に関するものです。

私は、さまざまな困難や課題はあるものの、広島と長崎への原爆投下から70年を迎える本年を機に、「核兵器禁止条約」の交渉に、いよいよ本格的に踏み出すことを呼び掛けたい。

NPT再検討会議の成果なども見定めた上で、条約交渉のためのプラットフォームを立ち上げることを提案したいと思います。

2年前に国連で行われた「多国間核軍縮交渉の前進に向けたオープン参加国作業部会」をベースに、NGOとの協議を交えた条約交渉の場として発展させる形もあるでしょう。

その上で例えば、国連総会の決議で2018年までの開催が要請されている、「核軍縮に関する国連ハイレベル会合」を明年に行い、条約案をまとめることを目指していってはどうか。被爆国の日本が、他の国や市民社会と力を合わせて、「核兵器のない世界」を築く挑戦を加速させることを強く望みたい。

広島では、8月に国連軍縮会議が、10月と11月に世界核被害者フォーラムが行われるほか、長崎ではパグウォッシュ会議の世界大会が11月に開催されます。

SGIでも、他のNGOと協力して「核兵器廃絶のための世界青年サミット」を9月に開催することを検討しています。

昨年、創価学会青年部では、核兵器の廃絶を求める512万人もの署名を集めました。サミットで、世界の青年の名において核時代との決別を誓う宣言を採択し、「核兵器禁止条約」を求める青年の連帯をさらに強めていきたい。

思い返せば、70年代前半に歴史学者のトインビー博士と対談した折、核問題の解決には「自ら課した拒否権」を世界全体で確立することが鍵になると博士が強調していたこと(『21世紀への対話』、『池田大作全集第3巻』所収)が思い起こされます。

今月21日、アメリカとキューバが国交正常化交渉を開始しましたが、国交断絶の翌年に起きたキューバ危機を解決に導いたのも、核使用を取り下げるという「自ら課した拒否権」を、米ソ両国が互いに示し合ったことによるものだったのではないでしょうか。

私が「核兵器禁止条約」を展望する時にイメージするのは、この「自ら課した拒否権」を各国が持ち寄り、重ね合わせることで、「どの国の人々も、核兵器の使用がもたらす惨害に見舞われることがない時代」を共同で築き上げることにほかならないのです。