青年の視点2015年のSGI提言

創価大学専任講師 中山賢司(青年学術者会議)

創価大学専任講師 中山賢司(青年学術者会議)

国連の創設70周年を迎える本年、池田大作SGI会長は、国際社会の「行動の共有」が急務となる課題として、3つの柱を挙げて、具体案を提起されています。

中でも私が注目したのは、第3の柱である「持続可能な地球社会の建設」を展望する中で、日本と中国と韓国が協力して、その「モデル地域」づくりに取り組むことを提唱している点です。

特に、国連のミレニアム開発目標に続く、新しい国際目標の達成期限となる2030年に向けて、「日中韓における自治体の姉妹交流の倍増」を呼び掛けられたことに、強く共感しました。

私はかつて、日中韓の自治体交流と地域形成をテーマに、国内外の研究者と共同研究をしたことがあります。自治体による「外交」は、政策決定がより住民に近いところでなされ、多くの場合、平和的な手段が用いられるため、地域形成の新たな行為体として期待されています。日中韓の姉妹交流も、従来の「親善・友好」を目的とした交流から、「環境協力」「農業技術援助」等へと深化しており、その存在感は増してきています。

しかし一方で、姉妹交流の新規提携数の伸びは鈍化しており、形式だけの交流を見直す動きもあります。

1990年代初めのバブル崩壊後、日本では、地方財政の悪化を背景に、交流規模が縮小される傾向が見られるほか、歴史認識の問題などに伴う国家間の政治的緊張も影を落としています。自治体交流には大きな可能性がありながらも、現段階では、その交流を基盤に「国境を越えた市民交流」へと発展するまでには至っていないのが実情です。

私は、こうした状況だからこそ、池田SGI会長が今回提唱した、「日中韓の自治体交流の倍増」という構想は、意義が大きいと思えてなりません。

国際政治学の分野でも、自治体が国境を越えて、直接、国際的な合同プロジェクトを推進する現象は、「サブリージョナリズム」と呼ばれ、地域主義の新たな潮流として注目され始めています。 

提言で打ち出された、「政治と経済の再人間化」の回路を社会に組み込み、同苦に基づく「エンパワーメントの連鎖」を広げ、「差異を超えた友情の拡大」を具体化するためにも、まずは、人々の生活圏に根差したローカル(地域・現場)の取り組みに焦点を当てることが肝要になると、私は考えます。

日中韓の自治体交流というローカルから広がる「一対一の友情の絆」を幾重にも育む中で、将来世代にわたる信頼と協力の「モデル地域」を構築していく。21世紀の世界にとって避けて通ることのできない、「持続可能な地球社会の建設」に向けて、身近なところから「行動の共有」に取り組むための意識改革が求められています。

(聖教新聞2015年2月28日付掲載)