青年の視点2015年のSGI提言

青年平和会議副議長 蔦木栄一

青年平和会議副議長 蔦木栄一

21世紀の世界は、どこへ向かっていくのか―世界中で勃発する紛争やテロ、大災害に関する報道が私たちの日常にあふれ、人類の未来は混沌の中にあると感じる。インターネットに代表される通信メディアの発達は、世界で起こる現実と私たちの生活が密接であり、決して切り離して考えることができないということを、かつてないほど認識させている。

同じ人間同士が憎しみ合い、繰り返される報復。そうした人間の負の側面を前に、一人の人間として、自分自身が今、何ができるのかが、強烈に突きつけられていると感じてならない。

今回の提言の中で、池田大作先生は、世界の現実を洞察された上で、具体的に取り組まなければならない課題解決の提案とともに、人間の生命次元からの変革を訴えている。

グローバルな問題の解決方法が論じられる際、受け手は「そんなのは無理だ」「できるはずがない」等のあきらめと無力感に苛まれる。特に、紛争や内戦などの解決については、そうした思いが強くなる。

しかし池田先生は、相手(敵)ではなく、常に自分自身が、「最良の自己」に基づく行動を取ることを訴えている。そして、その実践を可能にするためのヒントとして、「維摩経」に説かれるエピソードを挙げている。

天女が神通力で舎利弗と天女を入れ替えさせ、舎利弗が相手に向けていた眼差しのありようを舎利弗自身に悟らせるとのエピソードを通して、「自分と相手を取り巻く構図が逆転して、他者を傷つける“刃”が、自分や家族に向けられるようになった状況に想像力を働かせてもなお、自分の主張や立ち位置は揺らがないままでいられるでしょうか」と語っている。

先生が示された、この「まなざしの反転」こそ、人類が持つべき共通の価値観ではないかと思う。それは、「創価哲学」ともいうべき「人間革命」の精神を有した、一人の人間から始まる、始められるものだと考える。

自分と同じ大切なものを持った他者がいる。その他者の苦しみは、やがて自分にも訪れるかもしれない――自分の中に芽生えた他者を慈しむ感情を目の前の人に語っていく時、小さな思いの積み重なりが、反発や無関心を、友情や連帯へと転換させていくのではなかろうか。そして、たとえ遠い道のりであったとしても、この「まなざしの反転」こそが、憎しみを乗り越え平和を築きゆく確かな方途であると、強く確信する。