青年の視点2016年のSGI提言

排他主義に流されない人権文化の確立が急務

第11段
排他主義に流されない人権文化の確立が急務

態度と行動を育む取り組みが焦点に

市民社会の側からも、難民問題などの人道的課題に連帯して行動することが重要となってきており、SGIでは「すべての人々の尊厳を大切にする世界」を目指す観点から、特に人権教育の推進に力を入れていきたいと考えています。

国連加盟国の合意として人権教育の国際基準を初めて定めた、「人権教育および研修に関する国連宣言」が採択されて、今年で5周年になります。

難民と移民に対する偏見や蔑視をはじめ、人種差別や外国人嫌悪の動きが各国でみられる中、宣言の掲げる目的のうち、喫緊の課題になると思うのは次の二つの要素です。

「自由で平和、多元的で誰も排除されない社会の責任ある一員として、人が成長するよう支援すること」

「あらゆる形態の差別、人種主義、固定観念化や憎悪の扇動、それらの背景にある有害な態度や偏見との戦いに貢献すること」(阿久澤麻理子訳、アジア・太平洋人権情報センターのホームページ)

ここで焦点となるのは、自分が差別をしないだけでなく、「誰も排除されない社会」を築くために、偏見や憎悪による人権侵害を許さない気風――すなわち、人権文化を社会に根づかせることにあります。

この提言の前半で、教育の役割について論じた際、牧口初代会長が〝不善は悪に通じる〟と警鐘を鳴らしたことに言及しましたが、一人一人の行動が鍵を握る人権文化の建設には、そうした不善の意味に対する問い直しが強く求められるのではないでしょうか。

国連の宣言では、人権に関する知識の習得や理解の深化にとどまらず、「態度と行動を育むこと」を明確に射程に入れているほか、人権教育と研修を「あらゆる年齢の人びとに関わる、生涯にわたるプロセス」と位置付けています。

これはまさに、人権文化を豊かに花開かせるための要諦がどこにあるのかを、指し示したものにほかならないと思うのです。

SGIの新たな人権教育の展示

起草段階から宣言の制定を、市民社会の立場から支援してきたSGIは、2011年12月の採択以来、映画「尊厳への道――人権教育の力」 の共同制作や上映のほか、意識啓発の展示活動を行ってきました。

また2013年には、アムネスティ・インターナショナル、人権教育アソシエイツなど他の団体とともに、「人権教育2020」という市民社会ネットワークを立ち上げました。

国連の宣言や人権教育世界プログラムの推進を後押しする協力を深め合う中、「人権教育2020」では昨年、『人権教育の指標に関するフレームワーク』を出版し、各国での人権教育と研修の実践をより良いものにするためのガイドブックとして利用できるようになっています。

SGIでは現在、「人権教育2020」に携わる他の団体とも協力し、宣言の採択5周年を期して、新たな人権教育展示を開催する準備を進めています。

国連の新目標が掲げるさまざまなテーマを人権の角度から掘り下げつつ、「すべての人々の尊厳を大切にする世界」を築くための行動を誓い、共に強めていけるような展示を開催していきたいと思います。