2017年のSGI提言

「持続可能な開発目標」を地域で担う 行動の波を民衆の手で!

第8段
「持続可能な開発目標」を地域で担う 行動の波を民衆の手で!

包括的に解決を図るアプローチ

最後に、第三の柱として挙げたいのは、どんな困難に直面しても、状況を好転させる力を地域で高めていくことです。

SDGsには、以前のミレニアム開発目標と比べて多くの違いがありますが、特に重要だと思うのは、市民社会の声を十分に踏まえる形で採択された点です。

国連では制定作業にあたり、女性や若者をはじめ、さまざまな人たちとの対話を進めたほか、重点的に取り組んでほしい課題を投票する調査を行い、700万人以上が参加しました。

30歳未満の若者が参加者の7割以上を占める中、調査で上位となった、教育、保健、雇用など多くの項目が、SDGsに盛り込まれました。

こうした経緯を踏まえて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」には、次の一文が記されています。

「すでに幾百万もの人々が、このアジェンダに関わり、自分のものにしようとしている。これは『民衆の民衆による民衆のためのアジェンダ』であり、その一点がアジェンダを成功に導くと、我々は信じる」

このような〝民衆のアジェンダ〟という骨格を据えることは、私が5年前、SDGsを制定する出発点となった「リオプラス20」(国連持続可能な開発会議)に寄せた提言で、強く呼び掛けた点でもありました。

多くの人が自分に関わる課題として、行動を起こしていかなければ、どんな目標も力を得ることは難しいと考えたからです。

〝民衆のアジェンダ〟であるSDGsには、もう一つの特徴があります。

貧困や飢餓といったテーマごとの前進を図ったミレニアム開発目標とは異なり、全ての課題は相互に深く関連し包括的に解決を進める必要があるとの認識に立って、新たなアプローチが志向されていることです。

つまり、個々の取り組みを連動させる形で、他の多くの目標も前進させる〝好循環〟を生み出すことが目指されているのです。

例えば、安全な水の確保が進んでいけば(SDGsにおける目標6)、病気や感染症に苦しむ人が減り(目標3)、毎日、長時間の水くみをしてきた女性の負担が軽減し、仕事に就く道も開かれ(目標5)、極度の貧困から脱することができ(目標1)、子どもたちも学校に通えるようになる(目標4)――といったプラスの連鎖です。

これは、「ネクサス(関係)アプローチ」と呼ばれ、SDGsの開始前から、国連大学の研究所で研究が進められてきたほか、実際に各地で試みられてきたものでした。

SDGsには17分野にわたる169の項目がありますが、多岐に及ぶ課題の関連性を見いだしながら、同時進行的に解決を図っていくアプローチといえます。

気候変動や格差の拡大など、ミレニアム開発目標では対象となっていなかった課題がSDGsに多く追加されています。

しかし、いずれも元をたどれば、人間がつくり出したものである以上、人間の手で解決できないはずはない。行動を起こし、一つでも問題解決の足がかりを築ければ、そこから一点突破で、他の問題も解決に導く歯車を回すことができるのではないでしょうか。