2017年のSGI提言

人道危機が続くシリア紛争 国連の支援で和平実現を

第14段
人道危機が続くシリア紛争 国連の支援で和平実現を

家族を守るために日々迫られる選択

続く第二のテーマは、難民の人々が生きる希望を取り戻すための支援です。

近年、紛争や迫害によって生まれ故郷や住み慣れた場所を追われる人々が急増し、その数は6530万人にのぼります。

中でも、6年に及ぶシリアでの紛争に伴う人道危機は極めて深刻です。30万人以上が命を失い、恐怖と欠乏のために人口の半数以上が避難生活を強いられ、480万人が国外に逃れざるを得ませんでした。

こうした中、国連のグテーレス事務総長は、就任前の昨年10月、国連で最も対応に急を要する優先課題は「平和に関するものになる」とし、「人間の苦難をあらゆる次元で和らげる最善の方法は、平和のための外交の活性化である」と訴えました(国連広報センターのウェブサイト)。

先月30日、シリア全土での停戦合意が発効し、国連安全保障理事会も支持する決議を採択して停戦の順守を呼び掛けましたが、このまま内戦が鎮静化するかどうか、予断を許さない状況が続いています。

国連の支援で来月に開催予定の和平協議の場などを通じて、難民高等弁務官を長らく務めたグテーレス事務総長が率いる国連と、関係国が連携し、シリア紛争を一日も早く終結させることを願ってやみません。

この外交努力と並んで、グテーレス事務総長が重要課題と位置づけているのが、「恐ろしい紛争を逃れ、保護を必要としている人々との全面的な連帯を確保すること」(国連広報センターのウェブサイト)です。

昨年5月にトルコのイスタンブールで行われた国連の世界人道サミットで焦点となったのも、このテーマでした。

開幕式でも提起されていたように、紛争によって突然、生活を破壊された人々は、来る日も来る日も厳しい選択を迫られていることに、思いをはせる必要があります。

爆撃の危険を常に感じる中で住み慣れた場所の近くにとどまるのか、それとも、家族を引き連れて長い道のりを移動し続けるのか。

海を渡る途中で命を落とす恐れがあるのを承知の上で、いちの望みを託して船に乗るのか、それとも踏みとどまるのか。

避難生活の中で子どもが病気になった時、限られた所持金の中で家族のための食料を買うのか、子どもの薬を買うのか――。

先の見えない苦境に立たされているのは、生まれ育った環境や歩んできた人生は違っても、私たちと変わらない人間であることを忘れてはならないのです。