2018年のSGI提言

消極的な寛容を乗り越え 「人権文化」建設の挑戦を!

第8段
消極的な寛容を乗り越え 「人権文化」建設の挑戦を!

国連の取り組みが目指す社会の姿

第三の柱で論じたいのは、人権文化の(ちゅう)(たい)は〝喜びの共有〟にあるという点です。

先月、世界人権宣言が採択された日(12月10日)に合わせ、宣言誕生の場となったパリのシャイヨ宮で「世界人権宣言70周年」のキャンペーンが立ち上げられました。

国連のゼイド・フセイン人権高等弁務官は、声明でこう呼び掛けました。

「私たちは、妥協することなく決然たる立場をとらなければなりません。なぜなら、他者の人権を断固支持することは、自分たちの人権や将来世代の人権を守ることでもあるからです」

この呼び掛けを貫く〝力を合わせて人権を共に守る〟との問題意識は、国連の他のキャンペーンにも共通するものです。

難民や移民の人々が直面する状況の改善を目指す「TOGETHER」(トゥゲザー)や、ジェンダー平等を推進する「HeForShe」(ヒー・フォー・シー)の取り組みでも、タイトルが象徴するように、差異を超えて行動の連帯を広げることが鍵となっています。

それは、他者の置かれた境遇への理解を必ずしも伴わない消極的な寛容とは本質的に異なる、人権文化の建設を志向したものといえましょう。

消極的な寛容の場合、共生といっても、同じ地域で暮らすことを受け入れるとか、法律やルールがあるからそれに従うといった、表層的なものだけに終わる恐れがあります。

そうした消極的な寛容では、同じ人間として向き合う姿勢には結びつかないために、社会で緊張が高まった時には排他主義を食い止めることは難しいのではないでしょうか。

だからこそ、一人一人の意識変革を通し、「誰もが尊厳をもって生きられる社会」という新しい現実を一緒につくりあげようとする人権文化の取り組みが、今、国連を中心に進められようとしているのです。

仏法に「喜とは自他共に喜ぶ事なり」(御書761ページ)という言葉がありますが、共生の社会を築く源泉となるのは、一人一人が尊厳を輝かせていく姿を互いに喜び合う生き方にあるのではないかと、私は考えます。

法華経では、〝万人の尊厳〟を説く釈尊の教えに心を打たれた弟子たちが、一人また一人と誓いを立てていく場面があります。

その姿を前に周囲に広がるのは、「心大歓喜」や「歓喜()(やく)」といった言葉が随所に出てくるように、喜びの輪であり、その喜びを分かち合う中で人々が〝万人の尊厳〟への思いを深めていく姿が描かれているのです。

SGIの民衆運動を突き動かしているのも、そうした〝喜びの共有〟に他なりません。

国や人種の隔てなく、互いが直面する課題に対し、共に前に進んでいけるよう支え合っていく。そして、困難に立ち向かう中で尊厳の光を輝かせる友の姿を胸に焼き付け、その友の前進を我が事のように一緒に喜び合っていく思いが源泉となってきたのです。