2019年のSGI提言

有志国によるグループを結成し 核兵器禁止条約の参加を拡大

第10段
有志国によるグループを結成し 核兵器禁止条約の参加を拡大

続いて、平和と軍縮を巡る喫緊の課題を解決するための具体策と、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みを前進させるための方策について、5項目の提案を行いたい。

第一の提案は、核兵器禁止条約の早期発効と参加国の拡大に関するものです。

核兵器禁止条約が採択されて以来、これまで国連加盟国の3分の1以上にあたる70カ国が署名し、20カ国が批准を終えました。

条約の発効要件である50カ国の批准には、まだ及んではいませんが、化学兵器や生物兵器の禁止条約の場合と比べても、批准国の拡大は着実に進みつつあるといえます。

加えて注目すべきは、条約にまだ参加していない国も含めて世界の8割近くの国々が、条約の禁止事項に沿った安全保障政策を実施しているという事実です。

ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の国際運営団体の一つである「ノルウェー・ピープルズエイド」によると、核兵器の開発・実験・生産・製造・取得・保有・貯蔵から、移譲と受領、使用とその威嚇、違反行為を援助することや援助を受けること、配備とその許可について、すでに155カ国が禁止状態にあるといいます。

つまり、世界の圧倒的多数の国が「核兵器に依存しない安全保障」の道を歩むことで、すでに核兵器禁止条約の中核的な規範を受け入れている状況がみられるのです。この基盤の上に、条約の発効と参加国の拡大を通じて、核兵器禁止に関する規範の普遍化を図ることが待たれます。

その一方で、核兵器禁止条約の採択によって、核問題に関する国際的な枠組みを提供してきた核拡散防止条約(NPT)の協力体制に、深い溝が生じかねないとの声も聞かれます。

しかし実際には、二つの条約が目指すゴールは同じであって、核兵器禁止条約はNPTを決して損ねるものではなく、むしろ、NPT第6条が定める「核軍縮交渉の誠実な履行」の義務に新たな息吹を注ぎ込む意義を有している点に、目を向けるべきではないでしょうか。