2019年のSGI提言

核兵器の削減方針を定める第4回軍縮特別総会を開催

第13段
核兵器の削減方針を定める第4回軍縮特別総会を開催

熱意と歩み寄りが合意形成に不可欠

こうしたリスクの低減は「水平的軍縮」と呼ばれるものですが、それに加えて、核兵器の保有数を実際に削減していく「垂直的軍縮」を進めることが、NPT第6条の義務に照らして不可欠の取り組みとなってきます。

そこで私は、来年のNPT再検討会議を受ける形で、国連の第4回軍縮特別総会を2021年に開催することを提案したい。

第4回軍縮特別総会で、多国間の核軍縮交渉の義務を再確認し、核兵器の大幅な削減と核兵器の近代化の凍結を含めた基本方針について定めた上で、2025年のNPT再検討会議に向けて多国間の核軍縮交渉を開始していくことを、呼び掛けたいのです。

もちろん、軍縮の合意は決して容易なものではないでしょう。第1回軍縮特別総会が1978年に行われた時も、多くの国が核軍縮を求める中、交渉の難航が続きました。

合意案を起草しても各国から意見が相次ぎ、異論のある箇所が多くの〝括弧〟で囲まれる状況で、それを解消できない限り、コンセンサスづくりは暗礁に乗り上げ、決議が見送られる恐れがあったのです。

そこで急遽、交渉の総責任者に指名されたメキシコのアルフォンソ・ガルシア・ロブレス元外相は、各国の代表に次のように呼び掛けました。

「昨日、新たな括弧が安易に加えられたが、このようなことはしないと紳士協定をしてほしい。まるで、機織りをするペネロペが織物を途中でほどいては織り直すギリシャ神話のようではないか」(木下郁夫『賢者ガルシアロブレス伝』社会評論社)と。

後にノーベル平和賞を受賞したガルシア・ロブレス元外相のこうした尽力が実り、最終的にはすべての〝括弧〟が解消された形で、最終文書が全会一致で採択されたのでした。

この最終文書は現在でも軍縮問題を討議する際の基礎になっていますが、第4回軍縮特別総会でも各国が熱意と歩み寄りをもって、核兵器をはじめとする多くの兵器の軍縮に関する合意を導くべきであると、私は呼び掛けたいのです。

また、第4回軍縮特別総会を行う際には、市民社会の代表による発言の場を十分に確保することを求めたいと思います。

国連総会で市民社会の代表の発言が初めて実現したのも、第1回軍縮特別総会でした。25に及ぶNGOと六つの研究機関の代表が、議場で発言したのです。

私自身、第1回軍縮特別総会に寄せて提言を発表したほか、第2回軍縮特別総会(82年)と第3回軍縮特別総会(88年)の時にも提言を行いました。

またSGIとして、第2回軍縮特別総会の際に〝核の脅威展〟を国連本部で開催しました。

広島と長崎での原爆被害の実態などを紹介した展示は反響を呼び、この特別総会での「世界軍縮キャンペーン」の採択を後押しするものともなりました。

以来、SGIでは、軍縮教育の推進にも力を入れてきましたが、第4回軍縮特別総会が行われる際にも、軍縮教育に関するシンポジウムなどを開催して、「核兵器のない世界」の建設を前に進めるために、市民社会からの発信に努めていきたいと思います。