2020年のSGI提言

気候変動を巡る問題に焦点を当て日本で国連の防災会合を

第14段
気候変動を巡る問題に焦点を当て日本で国連の防災会合を

災害の発生件数が10年で5倍に増加

第三の提案は、気候変動と防災に関するものです。

気候変動を巡って取り組みが迫られているのは、温室効果ガスの削減だけではありません。異常気象による被害の拡大を防止するための対応が待ったなしとなっています。

先月、スペインのマドリードで行われた気候変動枠組条約の第25回締約国会議(COP25)でも、この二つの課題を中心に討議が進められました。

COP25に寄せてNGOのオックスファムが発表した報告によると、気候変動による災害の発生件数は過去10年間で5倍にまで増加しているといいます。

世界全体でみると、地震などの災害や紛争よりも、気候変動が原因で避難した人数が圧倒的に多い状況が生じているのです。

そこで私は、「気候変動と防災」に関するテーマに特に焦点を当てた国連の会合を日本で行うことを提唱したい。 

国連防災機関では、各国の政府代表や市民社会の代表などが参加する「防災グローバル・プラットフォーム会合(防災GP会合)」を、2007年から開催してきました。

2年ごとに会合を重ねる中で、2015年には仙台で行われた第3回「国連防災世界会議」をもってその開催に代えられたほか、昨年5月にスイスのジュネーブで会合が行われた際には、182カ国から4000人が参加して討議が進められました。

今後は3年ごとに開催される予定となっており、2022年に行われる防災GP会合を日本で開催して、異常気象による被害の拡大防止と復興の課題について集中的に討議していってはどうかと思うのです。

5年前の国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組では、災害の被災者を2030年までに大幅に減少させるなどの目標が打ち出されました。

これまで積み上げてきた各国の経験を生かしながら、異常気象による災害についても早急に対策を強化していくことが求められるのではないでしょうか。

すでにインフラ(社会基盤)の整備については、インドの呼び掛けで「災害に強いインフラのための連合」が昨年9月に発足しています。

これまで重点が置かれてきた地震などの災害への対応だけでなく、気候変動の影響にも強いインフラの構築を目指すグローバルな枠組みで、技術支援や能力開発に関する国際的な連携を進めるものです。

異常気象による被害が相次ぐ日本もこの連合に参加しており、インドをはじめ他の加盟国と協力しながら、防災GP会合でこの分野における国際指針のとりまとめをリードしていくことを提案したい。

また、防災GP会合の中心議題の一つとして、気候変動と防災に関する自治体の役割をテーマに取り上げ、その連携を大きく広げる機会にしていくべきだと思います。

現在、国連防災機関が「災害に強い都市の構築」を目指して進めるキャンペーンには、世界の4300を超える自治体が参加しています。そのなかには、モンゴルやバングラデシュのように、すべての市町村がキャンペーンに参加している国も出てきました。

キャンペーンが始まってから本年で10年になりますが、今後は異常気象への対応に特に重点を置く形で自治体間の連携を進めることが大切になると思います。

世界の人口の4割は海岸線から100キロ以内に住んでおり、その地域では気候変動の影響によるリスクが高まっています。

日本でも人口の多くが沿岸地域で暮らしています。中国や韓国をはじめ、アジアの沿岸地域の自治体と、「気候変動と防災」という共通課題を巡って互いの経験から学び、災害リスクを軽減するための相乗効果をアジア全体で生み出していくべきだと考えるのです。

本年6月には、アジア太平洋防災閣僚級会議がオーストラリアで行われます。会議を通じて自治体間の連携に関する議論を深め、2022年の防災GP会合でその世界的な展開につなげることを目指していってはどうでしょうか。