2021年のSGI提言

新型コロナの問題を乗り越え 希望の社会を共に建設

第1段
新型コロナの問題を乗り越え 希望の社会を共に建設

私たちは今、これまで人類が経験したことがない切迫した危機に直面しています。

異常気象の増加にみられるような、年々悪化の一途をたどる気候変動の問題に加えて、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)が襲いかかり、それに伴う社会的・経済的な混乱も続いています。

未曽有\(みぞう\)であるというのは、危機が折り重なっていることだけに由来するのではありません。長い歴史の中で人類はさまざまな危機に遭ってきましたが、世界中がこれだけ一斉に打撃を受け、あらゆる国の人々が生命と尊厳と生活を急激に脅かされ、切実に助けを必要とする状態に陥ることはなかったからです。

わずか1年余の間に、新型コロナの感染者数は世界で9900万人を超えました。亡くなった人々も212万人に達し(1月25日現在)、その数は過去20年間に起きた大規模な自然災害の犠牲者の総数をはるかに上回っています。

大切な存在を予期せぬ形で失った人たちの悲しみがどれだけ深いものか、計り知れません。とりわけ胸が痛むのは、感染防止のために最後の時間を共に過ごすこともかなわなかった家族が少なくないことです。

この行き場のない喪失感がいたる所で広がっている上に、経済活動の寸断で倒産や失業が急増し、数えきれないほどの人が突然の困窮にさらされる事態が生じています。

一方、未曽有の危機による暗雲が世界を覆い尽くそうとする最中にあっても、「平和と人道の地球社会」を築く挑戦の歩みが、すべて止まったわけではありませんでした。

核兵器禁止条約が今月22日に発効したのをはじめ、児童労働を禁止する条約に対して国際労働機関(ILO)の全加盟国の187カ国が批准したことや、野生株のポリオウイルスの根絶がアフリカで実現するなど、画期的な前進がみられたからです。

いずれも、国連が2030年に向けて達成を目指している「持続可能な開発目標(SDGs)」にとって、かけがえのない重みを持つ成果であり、〝困難の壁を打ち破る人間の限りない歴史創造力〟を示したものにほかならないといえましょう。

なかでも、昨年の国連デー(10月24日)に発効要件を満たした核兵器禁止条約は、国連創設の翌年(1946年)に総会の第1号決議で掲げられて以来、未完の課題となってきた核兵器の廃絶に対し、ついに条約として明確な道筋をつけた意義があります。

冷戦下で核開発競争が激化していた1957年9月に、創価学会の戸田城聖第2代会長が発表した「原水爆禁止宣言」を原点に、核兵器を全面的に禁じる国際規範の確立を目指して、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)などの団体と行動を共にしてきた私どもSGI(創価学会インタナショナル)にとっても、条約の発効は何よりの喜びとするものであります。

そこで今回は、世界中が深刻なショック状態に陥る中で、未曽有の危機を乗り越えるためには何が必要となるのかを探るとともに、「平和と人道の地球社会」を建設する挑戦を21世紀の確かな時代潮流に押し上げるための方策について提起していきたい。