青年部と医学者による
第11回オンライン会議から㊦

青年部代表

  • 志賀青年部長
  • 西方男子部長
  • 大串女子部長
  • 田村副社会教育部長(創価大学教職大学院教授)
  • 青木女子青年教育者
    副委員長(中学校教諭)

医学者

  • 菖蒲川特任教授(新潟大学)
  • 藤原武男教授(東京医科歯科大学)
  • 庄司議長(創価青年医学者会議)
  • 勝又議長(創価女性医学者会議)

子どもは大人の鏡
心掛けるポイント

  • 感染リスクの判断は
    個別の状況に応じて
  • 「今できること」に挑戦する
  • 自ら考え動く環境を整える
テーマ01

思いの違いを認め合い
“わが事”と捉える心を育む

大串女子部長

新型コロナウイルスに対する不安や恐怖の度合いは、人によってさまざまです。学校で集団生活を送る子どもたちは、どのように感染症を捉えているのでしょうか。また、教育現場で、「正しく恐れる」意味をどのように伝えているか、教えていただければと思います。

青木女子青年教育者副委員長

6月に分散登校が始まってすぐに、新型コロナウイルスに関する道徳の授業を実施しました。ディスカッションを通して、正しい情報を選び取る重要性や、恐怖心が不安を増大させることなどを、生徒と共に深く考える貴重な機会となりました。

7月に一斉登校が開始してからも、感染への不安や体調不良によって、自宅からオンラインで授業に参加する生徒もいましたが、誰一人として非難・中傷を浴びせる生徒はいませんでした。むしろ、画面越しに励ましを送り合う場面も見られ、コロナ禍という試練に立ち向かう中で、生徒同士の心の絆が一段と強く結ばれていると実感します。

日常生活や学校行事の在り方、クラブ活動における感染防止のためのルールなど、これまでに前例がない“ゼロからの建設”となりますが、常に「『だからこそ』新しい挑戦をしていこう」との言葉を交わしながら、教員と生徒が一体となって検討を重ねています。

田村副社会教育部長

現在の教育現場で必要な、互いの思いや考え方の違いを認め合う実践の好例だと思います。

とりわけ、コロナ禍における学校生活の在り方を、生徒と教員が話し合いながら作り出している。子どもたちの成長に不可欠な「自己決定の時間と場」が与えられており、素晴らしいと感じました。

教員が決定事項を指示するのではなく、対等な立場で考えてくれる環境があれば、生徒たちは安心して自ら考え、行動を起こすことができます。その過程は「プロジェクト型の学習」そのものであり、一人一人の可能性の開花につながっていくと思います。

菖蒲川特任教授

感染症への意識は、東京などの都市部と地方では大きな差があると感じています。感染事例が少ない地方では、まだ実感が乏しく、“自分とは関係ない”と捉えたり、過度に怖がったりということがあるように思えます。

“コロナ教育”を通して、友達や遠くの人の状況を“ひとごと”ではなく“わが事”として捉え、「正しく恐れる」姿勢を身に付けていくことは、新型コロナウイルスと共存する社会を築いていく上で大切であると実感します。

テーマ02

子どもは大人の鏡 心掛けるポイント

菖蒲川特任教授

以前、中学生とその保護者を対象に、感染症を「正しく恐れる」ことについて話をさせていただきました。要約すると次の3点になります。

一つ目に「感染の確率を『0』か『100』かの二択で考えない」という点です。少しでも感染のリスクがあると、感染する確率が「100」であるかのように考えてしまいがちです。それによって自身の恐怖心があおられてしまいます。私たちは、感染のリスクと、感染防止のために負うリスクを比較し、個別の状況に応じて意思決定していくことが大切です。

二つ目に「今できることに挑戦しよう」という点です。この半年で、新型コロナウイルスについて、医学的にも、少しずつ分かってきたことがあります。とはいえ、今後については全く予測できず、状況は絶えず変化しています。どうしても「できないこと」が強調されてしまいがちですが、「できること」を見つけ、自分らしい挑戦を重ねていくことが、価値ある日々につながっていきます。

三つ目に「内発的な動機付けにつなげていこう」という点です。新型コロナウイルスは、いまだ経験したことのない感染症であり、「今、なにをすべきか」について誰も明確な答えを持ち合わせていません。子どもにとって、コロナへの対応自体が、問題解決の力を培う学習の機会になっているとも言えます。

自ら考え、実行していく力が鍛えられていく時期ですから、周囲の大人が温かく見守り、信頼のメッセージを伝え、子どもたちが安心して行動できる環境を整えてあげていただきたいと思います。

庄司議長

子どもたちは、楽しみにしていた行事が中止になったり、友達と遊ぶ時間が減ったり、つらい経験をしています。しかし、その分、「レジリエンス(困難を乗り越える力)」は、どの世代よりも強くなるのではないでしょうか。

田村副社会教育部長

そうであってほしいと思います。そのためにも大切なのは、親をはじめ周囲の大人の姿勢です。

子どもは大人の鏡です。大人が過剰に危機感をあおらないことです。不安を抱く子どもに「こうしなさい」「あれはだめ」と言い過ぎると、ますます不安になります。安定して落ち着いた大人が近くにいれば、子どもは心から安心し、変わりゆく状況にも、うまく対応していけるものです。

未曽有の危機といわれるコロナ禍の中で育つ子どもたちだからこそ、将来、世界や地域社会のさまざまな問題を解決していくリーダーに成長してほしいと願っています。

志賀青年部長

今回の会議では、教育現場のみならず、私たちが職場や地域で生かしていける重要な視点を教えていただきました。

“未知のウイルスに対して、明確な答えのない中で、どう進んでいくべきか”――自ら問いを立て、その解決に向けて、皆で協力して取り組んでいく姿勢が、新しい未来を開く力になると思います。

私たち学会青年部も、今いる場所で、「レジリエンス」を発揮し、危機を転機に、そして好機へと転換していきます。