青年部と医学者による
第12回オンライン会議から

青年部代表

  • 志賀青年部長
  • 西方男子部長
  • 大串女子部長
  • 浅井学術部副書記長(創価大学経済学部教授)

医学者

  • 菖蒲川特任教授(新潟大学)
  • 藤原武男教授(東京医科歯科大学)
  • 庄司議長(創価青年医学者会議)
  • 勝又議長(創価女性医学者会議)
テーマ01

事例によって明らかになった
基本的な感染防止対策の有効性

志賀青年部長

社会経済活動を大きく推進していくために、その前提となる感染防止対策は油断なく継続することが必要です。最新の科学的根拠をもとに、改めて、そのポイントを確認し合いたいと思います。

菖蒲川特任教授

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、クラスター(感染者集団)の発生事例などを踏まえ、感染リスクが高い場面の例を挙げています。「飲酒を伴う懇親会」「大人数や長時間に及ぶ飲食」「マスクなしでの会話」などで、仕事の後や休憩時間、屋外での活動の前後の時間といった“居場所が切り替わる場面”での気の緩みなどにも、注意を呼び掛けています。

逆に言えば、こうした場面を意識的に回避すれば、感染のリスクを下げられることになります。

そして、「手洗いの励行」「マスクの着用」「身体的距離の確保」「小まめな換気」「大声で話さない」など、これまで継続してきた、基本的な感染防止対策が、改めて重要であることも、多くの事例から明らかになっています。

テーマ02

コロナ禍による悪影響は―
女性・非正規労働者等の
雇用や旅行・飲食業等の業績に顕著

西方男子部長

コロナ禍の長期化によって、さまざまな分野に影響が出ています。人々の暮らしに直結する経済の立て直しは、待ったなしの局面を迎えていると思います。

浅井学術部副書記長

直近の統計データを見ても、雇用や就業等への影響は明らかです。とりわけ、「男性よりも女性」「大卒以上の労働者よりも大卒未満の労働者」「正規労働者よりも非正規労働者」が、経済的な悪影響を受けていることが分かります(独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表した統計データ)。

特に子育て世代の女性は、休業率の高止まりや労働時間の回復の鈍さが目立ちます。これは、保育施設や小学校などが再開した後も時間が短縮されたり、学童保育施設や課外活動の再開が遅れたりしていることから、母親の就業時間を元の状態に戻せないことなどが、その理由に挙げられます。

また、業種による影響の偏りも指摘されています。業態を変えるなど柔軟性をもって対応している産業がある一方で、人と接触することが不可欠だったり、業務内容がテレワークなどで代替できなかったりする職種の打撃は特に大きくなっています。

政府は今、停滞した旅行・イベント・飲食業等の活性化を図るために「Go To キャンペーン」を実施しています。当初、感染リスクを心配する声もありましたが、業界・利用者の双方から好評を得ています。今後も、十分な感染防止対策を前提にしつつ、社会経済の動きを活発化させていくことが、人々の生活を守ることにつながると思います。

藤原武男教授

経済的な悪影響は、健康格差にも影響を及ぼします。コロナ禍の長期化によって、さらに、その格差を広げてしまう恐れがあります。中でも、社会的に弱い立場に置かれている人ほど、経済的なリスクが高まります。そして経済的なリスクは、社会的孤立のリスクを高めます。

こうした現実を解決するためには、“何が課題の本質なのか”“価値とは何か”“生きる意味とは何か”という議論が必要だと思います。そのような対話を促進する意味で、ソーシャル・キャピタル、すなわち、人と人とのつながりが、ますます重要になりますし、とりわけ、地域に根を張る創価学会の皆さんの使命は大きいと思います。

勝又議長

コロナ禍にあって、多くの方々が目に見えないストレスを抱えていると感じます。だからこそ、そっと寄り添い、じっくりと話に耳を傾けることを大切にしています。

大串女子部長

私自身、今、多くのメンバーと直接会い、お話を伺っています。その中で「オンラインでは、弱音を吐くような発言を遠慮していたんです」と、直面する悩みを涙ながらに語ってくださった方もいました。“一人たりとも置き去りにしない”との思いで、励ましをさらに広げていきます。

テーマ03

目的観の明確化と共有が
正しくリスクと向き合う鍵

西方男子部長

コロナ禍の長期化は、感染リスクだけでなく、あらゆるリスクを浮き彫りにしています。私たちが充実した日々を送るためにも、今後は「リスクとの向き合い方」が重要になると思います。

浅井学術部副書記長

経済学の分野では、リスクの程度を正確に見極め、最適な対策を取ることに重きを置きます。必要以上にリスクを恐れると行動に踏み出せませんし、リスクを軽く見て、油断してもいけません。

先行きが不透明であることもリスクではありますが、見方を変えれば、新たな成功の可能性を秘めているとも言えます。

大事なことは、揺れ動く時代の変化という「挑戦」に対して、その動きを的確につかんで「応戦」していくことだと感じます。

具体的なリスク管理の方法は二つあります。一つは、リスクを分散させること。もう一つは、変化に対して反応が違うものを組み合わせることです。

前者は、飲食店が店内での営業以外に宅配や持ち帰り、通信販売を始めるというように、複数の販売方法を確立していれば、一つの方法の持続が難しくなっても、他の方法から利益を得ることができます。

後者は、企業が国籍や性別、年齢の差異を問わずに新たな人材を受け入れるというように、多様性と受容性を高めることで問題解決能力を向上させて、同質性によって生じるリスクを減らすことができます。

リスクを取ることは、リスクに甘くなることではありません。いざ最悪の事態が起きたときに慌てたり、思考停止に陥ったりしないよう、どのように対処するかを前もって想定しておくことも重要です。

庄司議長

私たちの日常生活においても参考になる視点です。何事も、リスクが「0」になることはありませんから、あらゆる事態に備え、万全の準備をし、リスクに対峙することが大切ですね。

藤原武男教授

公衆衛生の観点では、リスクへの対処法として、「ハイリスクアプローチ」と「ポピュレーションアプローチ」があります。

「ハイリスクアプローチ」とは、リスクの高い対象へ重点的に働き掛けることです。コロナ対策では、重症化率が高い高齢者に特化した対策を取ることに当たります。

「ポピュレーションアプローチ」とは、集団に働き掛けて、集団全体のリスクを低減させることです。ロックダウン(都市封鎖)などがこれに当たります。

この二つのアプローチを状況に合わせて組み合わせていくことが重要です。流行初期は、ウイルスが「未知」だったために、集団全体のリスクを低減させる対策を講じてきたわけですが、現段階では、高齢者や基礎疾患のある方への対策に移行しています。

どちらのアプローチをとるかの判断は、一筋縄にはいきません。それでも、国や行政のリーダーは状況に応じて判断をしなければなりません。その時に重要なのは「何のため」という目的観だと思います。その視点が欠落すると、手段が目的化してしまい、場当たり的な判断になってしまう危険性があります。

感染症対策においては、「命を守るため」という視点を基準に考えていくべきでしょう。その意味で、現在は、新型コロナウイルスの特徴も少し分かってきたので、重症化リスクの高い高齢者への感染防止対策を徹底しながら、社会経済活動を推進していくことで、人々の生活を守り、命を守る段階であると思います。

志賀青年部長

リスクといかに向き合うかは、感染症対策に限らず、あらゆる場面で考えていく必要があります。リスクを過度に恐れてもいけないし、油断をしてもいけない。そのバランスをとる基本軸こそが「何のため」という目的観の確立であると思います。

私たち青年部も、一つ一つの活動に対して、「何のため」という目的観を今一度、互いに共有しながら、着実な前進の歩みを刻んでいきたいと思います。