青年部と医学者による
第13回オンライン会議から

青年部代表

  • 志賀青年部長
  • 西方男子部長
  • 大串女子部長

医学者

  • 菖蒲川特任教授(新潟大学)
  • 藤原武男教授(東京医科歯科大学)
  • 庄司議長(創価青年医学者会議)
  • 勝又議長(創価女性医学者会議)
  • 村山議長(創価女性医学者会議)
  • 感染者数に一喜一憂しない
  • 「手洗い励行」「マスク着用」「身体的距離の確保」
    ―基本的対策は極めて有効
  • 冬場は特に「換気」を実施

志賀青年部長

国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が急拡大しています。こういう時こそ、冷静に「正しく恐れる」ことが重要であることを、これまでの会議でも学んできました。今回は、公衆衛生の専門家である皆さんと、一日一日を価値的に過ごすための視点について考えていきたいと思います。

菖蒲川特任教授

現在の感染急拡大の特徴として、高齢者世代の新規感染者数の増加が挙げられます。高齢者は若年者よりも重症化のリスクが高いため、医療体制の逼迫が懸念されています。

一方で、一日の陽性者数が過去最多を更新するなど「数」に一喜一憂する傾向がありますが、大事な指標は病床使用率です。すなわち、助けられる命が助けられなくなる「医療崩壊」を避けなくてはなりません。

そのためにも私たちは、今一度、日常の感染防止対策への意識を高め、実践していきたいと思います。

これまでのコロナ対策の経験から、感染が広がりやすい事例が具体的に分かってきました。

新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した、感染リスクが高まる「5つの場面」がその典型といえます。すなわち、「飲酒を伴う懇親会等」「大人数や長時間におよぶ飲食」「マスクなしでの会話」「狭い空間での共同生活」「居場所の切り替わり」です。

逆に言えば、こうした事例を回避すれば、感染を防ぐことに通じます。

感染防止には「手洗いの励行」「マスクの着用」「身体的距離の確保」「小まめな換気」といった基本的な対策を講じていくことが極めて有効です。

電車や新幹線、飛行機など公共交通機関での移動そのものはリスクが低い。その中で「マスクを外す場面」、例えば、座席で飲食する際などには注意が必要です。マスクの着用の有効性は、スーパーコンピューター「富岳」の検証結果でも証明されています。

村山議長

私は耳鼻咽喉科の医師をしています。

「ウイルスの性質」「人間の抵抗力」「生活環境」の観点から、冬は、感染拡大リスクが高い時期といえます。一般的にウイルスは、気温が低いほど生存期間が長くなります。さらに空気の乾燥によって、のどや鼻の粘膜が乾燥し、ウイルス等の侵入から生体を防御するシステムも働きにくくなります。

とはいえ、特別な対策が必要なのではなく、あくまでも基本的な生活習慣を整えることが重要になります。「質の高い睡眠」「バランスのとれた食事」「適度な運動」などの実践が抵抗力を向上させます。

菖蒲川特任教授

寒い時期は、窓を閉めて屋内に閉じこもりがちになります。「3密」を避けるためにも、室温や湿度を意識しながらの「換気」の実施が大事です。

機械換気による「常時換気」だけではなく、定期的な「窓開け」による換気が重要です。また、人が滞在している部屋の隣の部屋などの窓を開け、部屋のドア等から少しずつ外気を取り込む「2段階換気」も推奨されています。

ともあれ、今後の感染拡大は予断を許しません。刻一刻と感染拡大の状況は変化しています。ただし、個々人が実践できる感染防止対策は変わりません。その意味で、「正しく恐れる」姿勢が、ますます重要になってきます。

また、寒いと血管が収縮し血圧が上がるので、脳卒中や心筋梗塞などのリスクも高まります。こうした感染症以外の病気にならないよう気を付けることも忘れてはいけないと思います。

  • 「差別は許さない」ことを
    改めて共通認識とする
  • 感染した場合の心構えと事前の準備をしておく

大串女子部長

感染者数の増加に伴い、今後、家族や友人、職場の同僚など身近な人が感染するケースも出てくると思います。その時に、私たちが心掛けるべきことは何でしょうか。

藤原武男教授

まずは「誰もが感染する可能性がある」「感染者への差別は許されない」ことを、社会全体が再度、認識していかなければなりません。「感染=悪」「感染者=対策を怠った批判されるべき人」といった風潮が、今再び社会に蔓延していることを強く懸念しています。

戦うべき相手は感染者ではなく、新型コロナというウイルスなのです。

周囲に感染者が出ると、興味本位に「誰が感染したのか」と探し回る人の姿も見受けられます。これでは、批判を避けるために、体調不良を隠す人や検査に協力しない人が増えてしまう。その結果、さらなる感染拡大につながるという悪循環に陥りかねません。

例えば、事故に遭ってしまった人が、懸命に治療やリハビリに励み、社会復帰を果たした際に、差別や偏見のまなざしを向ける人がいるでしょうか。あえて言えば、新型コロナに感染することは、こうした不運な事故に遭うことと同じようなものであると思います。

新型コロナの感染は、どれだけ万全な予防策を講じていたとしても、完全に防ぐことはできません。誰もが感染する可能性があることを、改めて一人一人が深く理解する必要があると感じます。

勝又議長

家族や友人をはじめ身近にいる大事な存在が、感染症によっていわれなき中傷に苦しむことに対しては、誰もが嫌な思いを抱くでしょう。周囲に感染された方がいれば、早期の回復を祈り、安心して戻ってこられる環境づくりを心掛けていきたいと思います。一刻も早く偏見や差別を克服して、感染者を受け入れる土壌が、社会全体に広がってほしいです。

藤原武男教授

学校や職場など身近な人の感染によって自宅待機を経験された方も増えてきていると思います。たとえこうした環境に置かれても柔軟に対応できるよう、職場も、個人も、自宅待機というコロナ対策が必要になる機会はいつでも起こりうる、という心構えをもち、準備しておくことが大切だと思います。むしろこうした機会を価値創造のチャンスと捉えていけば、仕事や生活においても新たな発見があるのではないでしょうか。

  • 多様な関わりが免疫力高める
  • 励まされる側から励ます側へ

西方男子部長

今、感染拡大の「地域による差」が広がっています。こうしたことから、新型コロナ自体の捉え方や感染防止への「意識の差」もまた、今後、ますます広がっていくと感じます。社会に「分断」を生まないために、私たちはどのような視点をもつべきでしょうか。

藤原武男教授

公衆衛生の観点から言えば、「命を守る」ことを全ての基本とすべきです。新型コロナのリスクはもちろんありますが、感染リスクを恐れすぎるあまり、全く家の外に出なかったり、人と会わなかったり、会話をしなかったりすることは、心身の健康に悪影響を及ぼします。

また、社会・経済活動の維持も「命を守る」ことであり、「感染防止」と「経済」のどちらをとるのかという二者択一の議論に陥ってはならないと思います。

そもそも人は、感染の確率を「0」か「100」かの二択で考えてしまいがちで、そう考えることで不安や恐怖心があおられてしまいます。ゼロリスクを求めるわけでもなく、リスクを無視するわけでもなく、自分の命も他人の命も守る、という視点から第三の道を模索することが求められているのではないでしょうか。

さらに、最も懸念されるのは、人と人のつながりが希薄になることによって、1人暮らしの高齢者や学生、若者らが「孤立」することです。

東日本大震災の被災者が仮設住宅に入居する際、優先基準に基づいたような場合と、以前から関わりのある人同士がその地域単位で移転した場合を比べた時に、後者のほうが、支えることも、支えられることも多く、孤立する度合いが低かったとの調査結果があります。さらに、社会的つながりがある場合には、鬱になりにくいことも分かっています。

人間は、人と人とのつながりの中で、生きる意味を見いだすことができます。他者との多様なつながりがある人は免疫力が高いことも、さまざまな研究で証明されています。つながっていれば、正しい情報に接する機会も多くなります。

創価学会の皆さんは、コロナ禍にあっても、感染防止対策を徹底しながら、地域や友人との「つながり」を大切にし、広げておられます。こうした「つながり」自体が、「命を守る」感染症対策の社会的基盤であると思います。

庄司議長

先行きの見えない中で、自分の大切な人を守るために「励まし」を送っていく。「励まし」を送ることで自分も励まされてきた、というのが、多くの同志の皆さまの実感であると思います。「励まされる側」から「励ます側」へという視点が大切ですね。

志賀青年部長

未曽有の試練に直面する中、多くの人が、心からの励ましを求めていると感じています。私たち青年部は“目の前の一人をどう励ますか”との一点で、今後も智慧を湧かせ、工夫を重ねながら、今いる場所で、励ましの輪を大きく広げていきたいと思います。