青年部と医学者による
第17回オンライン会議から

青年部代表

  • 志賀青年部長
  • 西方男子部長
  • 大串女子部長

医学者

  • 菖蒲川特任教授(新潟大学)
  • 藤原武男教授(東京医科歯科大学)
  • 庄司議長(創価青年医学者会議)
  • 勝又議長(創価女性医学者会議)
  • 村山議長(創価女性医学者会議)
テーマ01

情報の本来の趣旨を
的確につかむ心掛けを

志賀青年部長

全国の新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にあるものの、首都圏を中心に減少スピードの鈍化や下げ止まりの状況にあることが指摘されています。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、緊急事態宣言の解除に伴い、感染の「リバウンド(再拡大)」が起きることを懸念しています。
今後の社会・経済活動と感染防止対策を両立するためのポイントを、改めて確認したいと思います。

菖蒲川特任教授

緊急事態宣言の解除で感染防止対策が一斉に緩和されれば、再び感染者が急増する恐れがあります。
政府の分科会は、リバウンドの対策として、昨年末、忘年会などの「飲食の場」をきっかけに感染が広がった教訓を踏まえ、この春の謝恩会や歓送迎会、宴会を伴う花見等を控えることなどを指摘しています。マスクを外し、飛沫が拡散しやすい「飲食の場」は、細心の注意が必要です。

緊急事態宣言が解除されたからといって、新型コロナの感染拡大が収束したわけではありません。ワクチン接種もまだ始まったばかりです。医療提供体制を逼迫させないためにも、引き続き、新規感染者数を抑え込む必要があります。

村山議長

最も懸念されていた医療提供体制は、一時期の逼迫状態からは改善されつつありますが、治療に人手を要する重症者が、まだ多く入院しており、全く気を緩められません。この間、医療現場の側としても、新型コロナウイルス患者への対応・手順等を明確化し、通常診療を続けていくための努力を重ねてきました。今後、新規感染者が再び拡大に転じてしまっては、元も子もありません。

菖蒲川特任教授

一方で、外出自粛や時短営業の影響で、経済的に打撃を受けている事業者が多くいらっしゃいます。人との接触が極端に減少し、つながりがないことでもたらされる心身の健康リスクも高まっています。
ゆえに、地域の感染状況を見極めつつ、日常の生活を取り戻していくことは妥当だと思います。特に健康リスクを回避するためには公衆衛生の観点からも「人とのつながり」が欠かせません。“オンライン疲れ”などの指摘も考慮すると、「マスクの着用」「身体的距離の確保」など基本的な感染防止対策を講じながら、直接会って「語り合うこと」が、ますます重要になっていくと思います。

西方男子部長

政府や行政等から発せられる感染防止対策のメッセージが、誤った解釈で広まる状況が見受けられます。例えば、「午後8時以降の不要不急の外出自粛→昼間ならば外出しても問題ない」「飲食店での宴会は控える→自宅での宴会はOK」という誤った捉え方です。緊急事態宣言の「解除」という二文字が独り歩きして「気の緩み」につながることも、一例だと思います。

藤原武男教授

情報をどのように伝達していくかは、感染症対策の鍵です。これを「リスクコミュニケーション」と言いますが、感染症対策はともすると注意を喚起する情報発信になりがちです。それによって過度に不安になる方もいれば、不安な気持ちになりたくないために発信源に対する不信感を抱く方もいます。
このように、感染症に関する注意喚起を一つとっても、発信の仕方によって分断を生じさせ、その分断がさらに情報源を選別させることになり分断を加速させます。コロナ禍にあって浮き彫りになっている大きな課題の一つです。
ゆえに情報発信者は、受け取る側の視点に立ち、丁寧に、明確なメッセージを伝えていく努力が不可欠です。あえて一例を挙げれば、「飲食の場に注意」という抽象的な注意喚起よりも、「その会食は今、本当に必要か」など、受け手の意図に寄り添いながら、本人の理性を呼び覚ますような呼び掛けのほうが効果的かもしれません。受け手が多様な考えを持っていることを前提に、「何のための対策か」を明確にしながら、納得と共感を生むメッセージを発信する努力が必要なのです。

一方で、情報を受け取る側として、心掛ける点があります。私たちは、どうしても自分にとって都合のいい情報しか受け取らなかったり、都合のいいように解釈したりしがちです。“会食や外出を自粛したくはない。しかし、感染症に注意をしているようには振る舞いたい”と思っている場合、それに沿った解釈をしてしまうのです。

今はSNSなどで、自分と同じ解釈の人と簡単につながれる時代です。こうした傾向は、デマや虚偽の情報に踊らされてしまう危険性もはらんでいます。情報の本来の趣旨を的確につかむためにも、不安をあおる情報、過度に安全性を強調する情報などには注意してほしいと思います。また、複数の媒体から情報を得ていくことや、あえて同じ解釈ではない人と意見交換することも大事です。

テーマ02

人と人との交流は健康と
生活を向上させる

大串女子部長

新型コロナの影響が長期化し、「望まない孤独・孤立」の問題が顕在化しています。政府も、この問題への対応を最重要課題と位置付けて、対策を強化する方針を出しています。「孤立しない・孤立させない」ためにも、つながりが、一段と重要になっていると感じます。

藤原武男教授

人と人との豊かなつながりは、心身の健康に良い影響を与え、寿命を延ばすことが、社会疫学における多くの研究によって分かっています。その理由は三つあります。

一つ目に、心理的なストレスが軽減されます。先行きの見えない不安や、思うようにいかない気持ちを誰かに話して共有すること、具体的に励ましてもらうことで心は落ち着きを取り戻し、免疫力が高まります。

二つ目に、多様な情報に触れることで、生活習慣や環境を改善することができます。自分と異なる考えを持つ人と交流することで視野が広がり、自分に必要な情報をより早く入手できる可能性も高まります。その結果、より健康的な生活を送れるようになります。

三つ目に、医療へのアクセスがしやすくなります。病気の経験や病院の情報を共有する中で、自分に最適な病院を受診できるチャンスが増えるのです。

とはいえ、問題を抱えていても“人に頼ることが苦手”“自分でやらなきゃ”“プライドが許さない”という方もいるでしょう。
しかし、いざという時に一人で抱え込まず、積極的に、他者に援助や助言を求めることは、自分を守ることにつながります。これは「援助希求能力」と言われていますが、苦しい時、困っている時に、周囲に頼れるスキルを持っていることは、すごいことなのです。
そのためにも、職場や地域等のコミュニティーの中で「助けてほしい」と言える環境をつくっていくことが必要であると思います。

庄司議長

コミュニティーで相談を受ける側の立場であるリーダーも同じですね。とかく責任感の強い方ほど不安や悩みを一人で抱える傾向があります。リーダー自らが援助希求能力を発揮することで、コミュニティー内に「助け合う」雰囲気が醸成され、大きな安心感をもたらすと思います。

菖蒲川特任教授

今、「若者の孤立」がクローズアップされていますが、とりわけ大学生は、コロナ禍でキャンパスに足を運べない日々が続きました。人との接触が極端に少なく、仲間をつくる機会も少ないため、孤立してしまいがちな環境にあります。私が在籍する大学では、教員が少人数の学生を担当して相談に乗っています。こうした悩みや不安を率直に打ち明けられる環境を整えることが、あらゆる場面で必要になっていると感じます。

テーマ03

ちょっとした挨拶や雑談が
地域をつなぐ確かな力に

藤原武男教授

「豊かなつながり」と言うと“強靱なつながり”をイメージするかと思いますが、今、必要なのは、自分が普段接しているグループはもちろん、これまでの古い付き合い、また新しく出会った人も含めた多様な“緩いつながり”を広げることです。
具体的には、「おはようございます」「こんにちは」といった、ちょっとしたあいさつや、「最近、どうですか」「何かあったら言ってね」といった、ちょっとした声掛けです。そして、そこから生まれる、ちょっとした雑談です。この「小さな行動」の積み重ねが、地域社会にあって孤独や孤立を防ぐ「大きな力」になっていくでしょう。この延長線上に、豊かなつながりが生まれていきます。

新型コロナが流行する以前から、地域コミュニティーの弱体化に伴う、孤独・孤立の問題が指摘されていました。今、この問題が、コロナ禍で一段と顕在化しています。
その意味で、地域に根を張る創価学会の皆さんの役割は、社会的にますます重要だと思います。公的な支援では対応しきれない、一人一人の状況に合わせた支援の手を差し伸べることができるからです。「個人」と「地域」をつなぐ地道な努力が、孤独・孤立を生まない社会への第一歩です。

志賀青年部長

感染防止対策を講じながら、たとえ短時間でも相手と直接会い、声を掛ける。話を聞く。そして励まし合う。こうした対話の積み重ねが、若者の「望まない孤独・孤立」を防ぎ、一人も置き去りにしない社会建設への大きなうねりになると確信します。

私たち青年部は、「対話運動」の社会的使命を自覚し、縁する全ての友への声掛けと励ましに取り組んでいきたいと思います。