創価の思想を学ぶ

第6回 平和への対話㊤

第6回 平和への対話㊤創価三代が築いた人間主義の大潮流(6)

人類の幸福を願い民衆の連帯築く
会長就任10年で会員750万世帯を達成

恩師・戸田先生は展望されていた。
「これからは『対話の時代』になる。人と語るということは、信念のために戦うことである。また、心を結び合うということだ」(『随筆 栄光の朝』〈対話 こそわが人生〉)
  
1970年(昭和45年)2月、創価学会はついに750万世帯を突破した。事実上、日本最大の民衆勢力へ発展したのである。
池田名誉会長は、第3代会長に就任してから10年で、師から受け継いだ学会を約10倍の勢力に拡大した。
その間に、東洋学術研究所(現・東洋哲学研究所)、民主音楽協会を創立し、創価一貫教育への第一歩として、創価学園の開校、創価大学の建設にも着手した。恩師から託された平和・文化・教育への基盤を築くと、名誉会長はいよいよ新たな戦いの火ぶたを切った。
それは「対話」によって人類の直面する諸課題を乗り越え、21世紀を「生命の世紀」へと開こうとする壮大な挑戦である。
  
「さあ、対話をしましょう!」
あの大歴史学者トインビー博士と私の対談も、一緒に名曲を奏でゆくような弾む心で始まった。
二年越し四十時間に及ぶ語らいは、人類と世界、歴史と未来、そして宇宙と生命を論じ合いながら、魂の共鳴を深めていった。(同)
  
72年(同47年)5月には、名誉会長は、20世紀を代表する歴史学者トインビー博士からの要請に応え、ロンドンにある博士の自宅を訪ねた。
地球文明の未来、国際情勢、生命論など縦横に交わされた両者の語らいは、対談集『21世紀への対話』として結実し、現在までに28言語で出版。各国の大統領や大学学長、文化人など多くの識者の座右の書となっているのである。

挿絵

万代にわたる日中友好の第一歩をしるす

第2次世界大戦後も、世界には、対立の暗雲が深く垂れ込めていた。
米ソ両大国を盟主とした東西陣営の対立に加え、70年代に入ると、中国とソ連もイデオロギーや国境をめぐり、互いに攻撃も辞さない一触即発の対決姿勢を強めていた。
しかし72年(同47年)、キッシンジャー米大統領補佐官(当時)の水面下での交渉を経て、ニクソン米大統領が中国・北京を訪問。
かねて名誉会長が見通していた通りに世界情勢は動き始め、日本政府も慌てて日中国交正常化に取り組み始めた。

 思えば、一九七四年(昭和四十九年)五月の下旬、私は、初訪中への出発の折、空港に見送りに来られた方々に語った。
――政治や経済の次元にとどまらず、永遠性の次元に立った「文化交流」「教育交流」「青年交流」が一段と大切になる。真実の人間と人間との友好によって、揺るぎなき平和の基盤を、さらに、堅固にしていきたい、と。(「随筆 新・人間革命」〈日中国交三十周年に念う〉、『池田大作全集』第133巻所収)

74年(同49年)5月、名誉会長は中国への第一歩をしるす。アジアの平和と安定、さらに世界平和の構築へ、民衆と民衆による「金の橋」を架ける戦いが始まった。
一方、米中の接近で、ソ連は一段と孤立感を深めていた。中国では、ソ連からの攻撃に備えた国民の防空演習が繰り返されていた。
互いに不信感を突きつけ合い、複雑な国内情勢にも縛られて、身動きの取れない状況が続いていたのである。 

挿絵

心と心を結ぶ民間外交で和平の道を開く

同年9月、名誉会長はモスクワに降り立った。「宗教者が、なぜ宗教否定の国に行くのか」といった無理解の批判が渦巻く中、断固たる行動だった。

いずこの地にも「人間」がいる。ならば、「対話」こそ不信の氷壁をとかす、人間の道であると信じたからだ。(「随筆 新・人間革命」〈トインビー博士との語らい〉、『池田大作全集』第133巻所収) 

コスイギン首相と会見した名誉会長は、率直に問いかけた。
「ソ連は中国を攻めるつもりがありますか」  首相は答えた。
「絶対に攻めません」
「それを中国の首脳に、そのまま伝えてよろしいですか」
「結構です」

同年12月、名誉会長は再び、中国・北京を訪問し、鄧小平副総理と会見。さらに、入院中であった周恩来総理は、周囲の反対を押し切って、名誉会長との一期一会の会見に臨んだ。
「池田先生とは、どうしてもお会いしたいと思っていました」――周総理は会見の中で、20世紀の最後の25年間が世界にとって最も大切な時期との認識を示し、世々代々の中日友好を名誉会長に託した。
翌年1月、名誉会長はワシントンを訪問。米国の国務長官に就任していたキッシンジャー氏と会談する。

対話を通して蒔かれた種は、時とともに花を咲かせる。
 (中略)
対話のなかに、対立から協調への軌道があり、平和の懸け橋が築かれる。
私は生涯、「日々、これ対話」の人生を歩み抜きたい。
この大道に、わが青年たちが限りなく続きゆくことを信じて!(「随筆 新・人間革命」〈「対話」は人間の大道〉、『池田大作全集』第134巻所収)

(創価新報2012年6月6日付12面から転載)