YOUTH コラム

「創価グロリア吹奏楽団」東北遠征を終えて

「創価グロリア吹奏楽団」東北遠征を終えて

池田大作創価学会名誉会長が創価学会音楽隊を創立されてから59年――。全国・全世界の音楽隊員が、心肝に染め、行動規範としている「音楽隊訓」には、「幾千万の地涌の菩薩の士気を鼓舞し、苦しい同志に、悩める同志に希望を与え、勇気を与える、音楽隊の使命」とあります。

今年2013年4月28日に南相馬市民文化会館「ゆめはっと」で行われた、「福光の春コンサート」は、私たち音楽隊の使命を再確認する場となりました。

前日の27日、「創価グロリア吹奏楽団」一行は、片道7時間の道のりをバスに揺られ、翌日に行われる会場を目指し、福島県南相馬市へと向かいました。

震災直後、地元・東北音楽隊の友は、自ら被災しながらも「もっと大変な人のところへ」と献身的に演奏会を重ね、励ましを送ってきました。そうした姿を目の当たりにし、本陣・首都圏の私たちもまた「被災地のために何かできないか」と試行錯誤を重ね、学会歌を収録したCDや応援メッセージを届けたり、東北同様に津波被害を受けた千葉県旭市などで復興応援コンサートを行ったりしてきました。それだけに、東北の被災地でのコンサート実現は楽団員全員の悲願でした。

今回の遠征には、東北に縁のある参加者も多くいました。妻の実家が飯館村にあり、今もなお親戚一家が避難生活を強いられているメンバー。福島在住の両親が被災した楽団員や、津波の影響で岩手県に住む親戚を亡くした同志もおり、「福光の春コンサート」に懸ける思いは人一倍強かったのです。

コンサートの前日、皆の強い要望で深刻な津波被害に遭った沿岸部を訪れました。想像を絶する惨状に、皆、言葉を失いました。無残に破壊された堤防、基礎部分だけが残された住宅跡地……。発生から2年以上が経過した今でも、津波被害の痛々しい光景が広がっていたのです。震災は決して過去の話ではない。復興への道のりもまだまだ遠い。同志は今も、歯を食いしばり、必死に戦っているのだと、誰もが実感した瞬間でした。

夜には、地元・福島の学会員の皆様に招かれ、交歓会に参加しました。会場に着くやいなや、割れんばかりの拍手と盛大な歓迎。地元の同志が準備してくださった横断幕には、「創価グロリア吹奏楽団の皆さん 来てくれてありがとう!」との文字が書かれ、三色旗を振りながら「ようこそ、福島へ!」と底抜けに明るい笑顔で私たちを出迎えてくださいました。

その生き生きとした眼差しに、私たちが逆に励まされ、移動の疲れも一気に吹き飛びました。また、交歓会では、自宅を津波で流された方々の話、多くの学会員、近所の友人・知人が県外に避難している現状など、被災地の現状を伺いました。それでも「負げでたまっか!」と懸命に戦っている同志の姿を目の当たりにし、涙があふれ、私たちがこの場所に来た使命を、あらためてかみしめました。

 

迎えた4月28日、公演は午前11時と午後2時の2回。天候は晴れ。爽やかな風が、会場となった南相馬市民文化会館「ゆめはっと」を包み、開場前から多くの方々が集ってくださいました。

受付や整理・誘導は、地元の青年部の方々が担ってくださり、開場と同時に、来場された方々は、われ先にと客席へ。開演直前には会場がほぼ満席となり、近隣自治体の首長や教育委員会の関係者をはじめ、仮設住宅に避難されている方、小・中学校の吹奏楽部や合唱部の児童・生徒などの姿もありました。

約90分の演奏会。全プレーヤーが奏でた魂の一音一音に、笑顔で聞いてくださる壮年、目頭を押さえながら聞き入る婦人、手拍子を送ってくれる子どもたちなど、会場は深い絆で結ばれた家族のような温もりに包まれ、最後の曲目を終えた瞬間、「ブラボー!」との大歓声とともに場内は総立ちに。会場一体となって、アンコールが沸き起こり、大感動で幕を閉じました。

終演後、楽団員全員で会場のロビーで見送りをさせていただきました。

来賓として参加されていたある首長は、「避難生活のストレスが吹っ飛びました!」と笑顔で語り掛けてくださいました。仮設住宅に住む婦人は、「私の中にも、まだ感動できる心が残っていたんだ。感動できる自分がうれしい」と涙ながらに語られていました。

「元気が出ました」「全身に力がみなぎる思いがしました」等々――掛けていただいた一言一言は、今も私たちの心に深く刻まれています。この演奏会の模様は、その日の夕方に、地元テレビ局の「テレビユー福島」で報じられ、翌日の地元紙「福島民報」にも掲載されました。

 

池田先生は、ジャズミュージシャンのウェイン・ショーター氏、ハービー・ハンコック氏とのてい談『ジャズと仏法、そして人生を語る』(毎日新聞社)の中でこう述懐されています。

「音楽は、世界市民の共通語です。国境の壁を軽々と飛び越え、皆の心を一つの家族に結び合わせます。文化交流、芸術交流の素晴らしさです。21世紀のグローバル化は、物理的な距離の消滅から、さらに心の距離の消滅へと進んでいかねばなりません。50年前に世界への平和旅を開始して以来、私は国や民族、イデオロギーを超え、心を結ぶ対話の行動を続けてきました」と。

私たち「創価グロリア吹奏楽団」にとって、これまで「全日本吹奏楽コンクール」で8度の「金賞・日本一」の実証を示させていただいた以上に、今回の遠征がその一端でも担うことができたのであれば、これほどの誇りと喜びはありません。

これからも、私たち「創価グロリア吹奏楽団」は、友のため、同志のために、そして地域社会に貢献するために、鍛錬に鍛錬を重ね、民衆文化の未来を開く一人一人に成長し続けてまいります。

創価グロリア吹奏楽団 代表・中村英夫